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空き家の固定資産税は高くなる?【相続手続きの相談窓口】


空き家が「特定空家」に指定されると固定資産税が上がる?


現在、日本では高齢化社会が深刻化するにつれて空き家も増え続け、社会問題になっています。ここでは、空き家の固定資産税と「特定空家」について解説します。


空き家でも固定資産税がかかる


たとえその家に住んでおらず、活用していないとしても、空き家の所有者には固定資産税を支払う義務があります。
固定資産税は、毎年1月1日時点で不動産を所有している方に課されるのが原則です。
なお、空き家だからといって固定資産税が安くなったり高くなったりすることはありません。
しかし、自治体から「特定空家」に指定された場合は、固定資産税がそれまでと比べて大幅に上がるおそれがあります。


特定空家とは


周囲の景観をとくに悪くしている空き家や倒壊の危険性が高い空き家などへの対策などとして、平成26年に「空家等対策特別措置法」が成立しました。
この法律をもとにした自治体の認定により、放置された空き家が「特定空家」として指定されることになりました。
市民からの相談や実態調査によって空き家が「周辺の住環境や景観を著しく損ねる」と判断された場合に、自治体から「特定空家」に指定されます。
具体的には、倒壊の危険性がある空き家や、著しく衛生上有害な可能性がある空き家、景観を損なっている空き家、周辺の生活環境の保全のため放置することが不適切な空き家などが、これに該当します。
つまり、すでに放置されており、周囲に迷惑をかけるような空き家が「特定空家」に指定されるのです。
特定空家に指定されたあとは、自治体から助言や指導がおこなわれ、それでも従わなかった場合は、より強制力のある勧告や命令が実施されます。
これにより、受けられていた控除の対象外になり、強制的に空き家を解体するなどの代執行がおこなわれ、かかった費用は所有者に請求されることになります。
 




空き家の固定資産税の計算方法


ここでは、通常の空き家の固定資産税の計算方法と併せて、特定空家に指定されたあとの固定資産税についても解説します。


通常の空き家の固定資産税の計算方法


空き家の固定資産税の計算方法は、一般的な住宅の計算方法と変わりません。
土地と建物に分けて、以下のようにそれぞれ課税されます。



  • 土地の固定資産税=課税標準額×1.4%(軽減措置あり)

  • 建物の固定資産税=課税標準額×1.4%


固定資産税評価額とは、固定資産税の基準となる土地や建物の評価額で、自治体が調べて定めるものです。
住宅が建っている土地は、「住宅用地特例」により課税標準が以下のように軽減されています。



  • 面積200㎡以下の部分:固定資産税課税標準額=固定資産税評価額×1/6

  • 面積200㎡超の部分:固定資産税課税標準額=固定資産税評価額×1/3


しかし、特定空家の建っている土地は、住宅用地特例の対象外となる点に注意が必要です。
実際の計算は、突然固定資産税が跳ね上がらないようにするための負担調整措置などがおこなわれます。


特定空家の固定資産税の計算方法


特定空家の場合、住宅用地特例を受けることができません。
これまで受けられていた軽減措置が受けられなくなることで、結果的に固定資産税の負担が増えることにつながります。
ただし、特定空家に指定されたらすぐに固定資産税が跳ね上がるわけではありません。
指定後におこなわれる助言や指導に従い、空き家に対して適切な対処をおこなって改善すれば、控除の対象のままでいられます。
ただし、助言や指導に従わず、さらに勧告を受けても改善しない場合は、翌年から固定資産税の負担が増えるでしょう。




空き家の固定資産税を節税する方法


空き家を放置し続けると、固定資産税の負担が重くなるおそれがあるため、適切な対策が必要です。
ここでは、固定資産税の節税方法について解説します。


信頼できる方に住んでもらう


空き家が問題になるのは、活用することも管理することもできず、放置してしまうからです。
親族など信頼できる方に貸して居住してもらえれば、日常的な管理が自然とおこなわれるため、建物が傷むスピードも遅くなるでしょう。
もし固定資産税をまかなえる程度の家賃を受け取ることができれば、所有者の金銭的な負担はほとんどなくなります。


特定空家の指定を解除してもらう


所有する空き家が特定空家に指定された場合は、すぐに解除してもらえるよう、現状を改善することが大切です。
勧告から時間が経つまでに改善できれば、固定資産税の負担が増えることはありません。
たとえば、窓ガラスが割れたままになっているなど景観を悪化させている場合は、必要に応じて修繕をおこないます。
倒壊の危険がある場合は、耐久性を上げるための工事をおこないましょう。
このような改善が認められれば、特定空家の指定が解除されます。
改善に多額の費用がかかる場合やあまりにも老朽化が進んでいる場合などは、建物を解体したほうが良いことも少なくありません。
ただし、建物がなくなった土地は固定資産税の軽減措置が受けられなくなるため、固定資産税の節税にはなりません。


売却する


売却して空き家を手放すことで、固定資産税の負担から解放されます。
管理に困る空き家は相続でもめることも多いため、後のトラブルを防ぐことにもなるでしょう。
相続して3年以内の空き家を売却する場合は、「相続空き家の3,000万円特別控除」が利用できることもあります。
売却した利益から3,000万円まで控除できるため、売却後に課される譲渡所得税に対して大きな節税効果があります。
ただし、相続空き家の3,000万円特別控除を利用するためには、昭和56年5月31に以前に建築された建物であることや、マンションでないことなどの要件を満たす必要があります
利用できるかどうかを売却前に確認しておきましょう。


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