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事故物件は相続した方が良い?判断基準とデメリットを解説【相続手続きの相談窓口】


事故物件にも相続税がかかる?相続性評価について



不動産を相続するときは、相続税がどれくらいかかるのか気になりますよね。



とくに事故物件は、マイナスイメージがあることから、相続税がかかるのであれば相続したくないと考える方もいらっしゃるでしょう。
事故物件でも相続税は発生しますが、相続税評価は下がる傾向にあります。


事故物件とは?


そもそも相続予定の不動産が事故物件に該当するのか気になる方もいらっしゃるでしょう。
一般的に事故物件とは過去に買主から心理的に忌避されるような事件や事故が起こった物件のことを指します。たとえば、敷地内で殺人事件や自殺などが発生した不動産が該当します。


相続税評価とは?


相続税評価とは、相続税を計算するときに基となる相続財産の価値を評価することを指します。
土地の場合は路線価方式や倍率方式で相続税評価額を算出し、建物の場合は固定資産税評価額が用いられます。
路線価とは、国税庁が毎年7月1日に公表している所在地に応じた道路に面する土地の価格です。
路線価は1㎡あたりで表示されているため、土地の形状等に応じた補正率で補正した後に、敷地面積をかけて計算します。
倍率方式とは、路線価が定められていない地域で用いるもので、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率をかけて算出します。
国税庁の見解によると、事故物件などのように利用価値が著しく低下している宅地については、低下分の面積に応じて「評価額×10%」を控除可能です。
ただし、評価額を算出する際に、すでに利用価値の低下分が考慮されている場合は除きます。




事故物件は相続したほうが良い?判断基準について



事故物件を相続するべきかどうかについて迷う方もいらっしゃるでしょう。



相続放棄を選択した場合は、そのほかのすべての遺産についても相続権を失うため、慎重な判断が必要です


判断基準①需要の高低


事故物件を相続した後に賃貸物件として活用するか売却を検討している場合は、需要があるかどうかを判断基準にすると良いでしょう。
事故物件の需要は、物件の立地や周辺環境、過去に発生した事件や事故の内容によって異なります。
物件の立地が良好で、交通アクセスが便利だったり近隣に商業施設や公共施設が充実していたりする場合は、事故物件であっても需要が高くなる可能性があります。
また、過去の事件や事故の内容が比較的に軽微でセンセーショナルでない場合は、需要への影響も低いでしょう。


判断基準②土地活用の可能性


土地が広くてさまざまな用途に活用することができる場合、相続を検討する価値があります。
たとえば、駐車場やトランクルームなどの土地活用をすることで、将来的に安定した収益を得ることができるかもしれません。
事故物件であっても住宅以外に活用するのであれば、利用者の心理的な負担も減るでしょう。
ただし、建物を解体して土地活用する場合はコストや手間がかかるため、事前にリスクや収益性を詳しく検討することが重要です。
交通量の多い道路沿いにある広い土地であれば、コンビニエンスストアやファストフード店などの事業者に貸すことで、高収益が期待できるでしょう。


判断基準③相続税の負担


相続税の負担額を判断基準にする方もいらっしゃいます。
相続税が高くて手元の資金で払えない場合は、相続放棄を検討したほうが良いでしょう。
ただし、前述でも述べたとおり、事故物件のみを相続放棄することはできないため、そのほかの遺産を相続したい場合は注意が必要です。
不動産としての需要が低く、相続税の支払いが苦しい場合は、相続後に売却を検討するのも良いでしょう。




事故物件を相続した場合の将来的なデメリットとは?


事故物件を相続した場合は、どのようなデメリットがあるのかも気になるのではないでしょうか。


賃貸物件の場合


相続した事故物件がアパートなどの賃貸物件の場合、以下のようなデメリットがあります。



  • 空室リスク

  • 家賃の下落リスク


事故物件は、過去に事件や事故が発生したことで、入居者に心理的抵抗感を与えることがあります。
たとえば、過去に自殺や殺人事件が起こった物件は、その場所で暮らすことに対して恐怖心や不安を抱くことが一般的です。
このような心理的抵抗感から、入居希望者が減少し、空室率が高くなる傾向があります。
また、事故物件であることが周囲に知れ渡ることで、物件に対するマイナスイメージが強まる可能性もあるでしょう。
このため、需要が減少し、競争力を維持するために家賃を下げる必要が生じることがあります。


空き家の場合


相続した事故物件が空き家の場合は、以下のようなデメリットがあります。



  • 近隣住民に偏見の目で見られる

  • 防犯上の問題

  • 建物や設備の老朽化

  • 維持・管理費用の負担


前述でも述べたとおり、過去に事故や事件が発生した空き家は、周囲に悪い印象を与えることがあります。
また、人が寄り付かない空き家は、不法侵入や犯罪の温床となることもあり、防犯上の問題が起きやすい点もデメリットです。
長期間空き家状態のまま放置した場合は、建物や設備の老朽化が進み、行政から特定空家に指定される恐れもあります。
特定空家に指定されないためには、定期的なメンテナンスや管理が必要です。
防犯対策や草木の手入れ、建物の劣化対策など、維持・管理費用がかかります。
とくに事故物件の場合、賃貸活用しようにも入居者が見つかりにくいため、長期間の空き家状態が続くことが予想され、維持・管理費用が持続的な負担となります。
これらのデメリットが大きいと感じる場合は、早期の売却を検討することが望ましいです。
「事故物件だから売りに出してもなかなか買い手が見つからない」という場合は、不動産会社に買取依頼する方法もあります。
買取の場合、相場よりも売却価格は少し下がる傾向にありますが、仲介手数料なしで早期に売却できるメリットがあります。





まとめ


事故物件でも相続税はかかりますが、相続税評価は下がる傾向にあります。
相続するかどうかの判断基準は、需要の高低や土地活用の可能性、相続税の負担額です。
相続後のデメリットが大きいと感じる場合は、売却を検討することをおすすめします。
特に事故物件を相続する場合、売却しようとするならば、路線価方式で出す場合に路線価評価×10%の控除程度では実勢価格より高い評価になってしまうことがあります。
そんな場合は、費用は掛かってしまいますが不動産鑑定士に時価を算出してもらう必要があるかもしれません。
不動産鑑定士に時価評価出してもらった方が良いのかどうかという判断につきましては、宅地建物取引業者の査定を参考にしてみるのも良いでしょう。
路線価方式で出した財産額より宅建業者の査定額の方が明らかに低い場合は、不動産鑑定士に依頼することを検討してみましょう。


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