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ブログ記事

ブログ記事一覧

□戸籍法の一部を改正(R6.3.1)
□民法で言う相続人、タイプ別で分かれるの?(R5.10.23)
□胎児は相続人になり得るのか?(R5.10.20)
□空き家火災、対策と所有者責任。(R5.8.18)
□相続税の取得費加算の特例とは?併用可能な税制は?(R5.7.27)
□相続における換価分割とは?メリット・デメリットや税金(R5.7.21)
□不動産相続における数次相続とは?注意点や手続きの方法(R5.7.3)
□空き家等対策の推進に関する特別措置法一部改正(R5.7.1)
□死因贈与契約の落とし穴(R5.6.17)
□相続放棄すると相続税の基礎控除で不利になるのか?(R5.5.29)
□限定承認の落とし穴(R5.5.28)
□相続人が相続放棄をしつつ遺贈により遺産を取得できるの?(R5.5.23)
□賃借物件を引き払うと相続放棄できなくなるの?(R5.5.18)
□遺言書に記載すれば相続人の廃除が必ず認められるのでしょうか。(R5.5.15)
□遺言書の検認申立てをしない相続人は相続欠格となるのか?(R5.5.14)
□事故物件は相続した方が良い?判断基準とデメリットを解説(R5.5.11)

□相続トラブル。忘れがち、連れ子との養子縁組!(R5.4.23)
□不動産相続・よくあるトラブル(R5.4.15)
□空き家の固定資産税は高くなる?(R5.4.3)
□相続物件における不動産売却の注意点!(R5.3.29)
□相続した不動産を売る場合でも測量することになります。(R5.3.22)
□空き家を売りたい方必見!更地で売る?現状で売る?メリット比較(R5.3.15)
□成年後見人による不動産売却の方法とは?(R5.3.10)
□相続した空き家を放置するとデメリットがある?(R5.3.2)
□相続における代償分割とは?(R5.2.22)
□相続診断を無料で行っております!!!(R5.2.14)
□相続した空き家の譲渡所得税の3000万円特別控除の特例と令和5年度税制改正(R5.2.3)

戸籍法の一部を改正【相続手続きの相談窓口】




戸籍法の一部を改正する法律(令和元年法律第17号)が令和6年3月1日から施行されます。
令和6年3月1日から施行されたものは、
1.戸籍証明書等の広域交付
2.戸籍届出時における戸籍証明書等の添付負担の軽減
今後の予定は、
1.マイナンバー制度の活用による戸籍証明書等の添付省略
2.戸籍電子証明書の活用による戸籍証明書等の添付省略
が予定されています。

令和6年3月1日施行されたなかで、相続手続き関係では「戸籍証明書等の広域交付」が重要になってきます。

施行前は、相続が発生し戸籍を集めいようとする場合、本籍地である各市区町村に請求していました。転籍が多く本籍地の変更が多いと戸籍を集めるのに郵送などの手間と時間が掛かります。
施行後は、本籍地でなくとも最寄りの市区町村の窓口で戸籍証明書等を請求できるようになりました

【広域交付制度とは】
本籍地以外の市区町村の窓口でも、戸籍証明書・除籍証明書を請求できるようになります(広域交付)。
これによって、
【どこでも】
本籍地が遠くにある方でも、お住まいや勤務先の最寄りの市区町村の窓口で請求できます。
【まとめて】
ほしい戸籍の本籍地が全国各地にあっても、1か所の市区町村の窓口でまとめて請求できます。
※ コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍を除きます。
※ 一部事項証明書、個人事項証明書は請求できません。


【広域交付で戸籍証明書等を請求できる人】
○戸籍証明書等を請求できる方(上記参照)が市区町村の戸籍担当窓口にお越しになって請求する必要があります。
○郵送や代理人による請求はできません。
○窓口にお越しになった方の本人確認のため、以下の顔写真付きの身分証明書の提示が必要です。
 ・運転免許証
 ・マイナンバーカード
 ・パスポート など

相続が発生すると被相続人の戸籍は、出生から亡くなるまでのもの全てを取得しなければなりませんので、負担が軽減されるのではないでしょうか。
ただ、兄弟姉妹だけが相続人である場合は被相続人の戸籍を広域交付での請求はできません。

士業の職務上請求書での広域請求もできません。

詳細は法務省のHPでご確認ください。

役所の手続きは原則平日しかできません。
相続が発生すると葬儀や役所への届け出など忙しいと思います。
仕事もずっと休むこともなかなかできないといった場合もあります。
戸籍の請求が煩わしければ、専門家に戸籍請求、相続関係説明図作成、法定相続情報取得までマルっと任せてしまうと良いかもしれません。

民法で言う相続人、タイプ別で分かれるの?【相続手続きの相談窓口】


よく相続の専門家などが法定相続人という言葉を使いますが、法定相続人という言葉は民法には出てきません。
民法に出てくるのは全て「相続人」なのです。
なぜなら、民法に記載されているということそのものが「法定」であり、わざわざ法定を付ける必要がないからです。
しかし、相続人の頭に「法定」は付きませんが、相続人の状況をわかりやすく表現するために次のように大きく分けて4つのタイプ別に相続人を定めています。

1.共同相続人
相続が発生すると、民法ではその瞬間に相続人は被相続人の財産や債務など一切の権利義務を承継するとされています。
瞬間的に、包括的に相続するのです。
相続財産が分割されるまでは各相続人がその相続分に応じて共有するわけです。
このように、相続人が複数いる場合にはこれらの相続人全員を共同相続人と呼びます。

2.推定相続人
民法で定められている法律上の相続人のうち、最も優先順位が高い地位にある者を推定相続人と呼んでいます。
相続は発生していないが相続が発生すれば相続人になり得る者のことです。
ただし、相続欠格や相続の廃除によって相続権が失われる可能性もあります。
したがって、推定相続人は「相続人になる期待権者」と言っても良いでしょう。

3.推定相続人
相続人は大別すると血族相続人と配偶者相続人に分かれます。
血族相続人とは、「直系卑属」や「直系尊属及び兄弟姉妹」のことです。
この血族相続人と常に同順位の相続人となるのが「配偶者相続人」です。
血族相続人の他に「法定血族相続人」がいます。
いわゆる養子のことです。
養子も実子と同じように相続人になります。
ただ、このケースも民法と相続税法には違いが生じていますので気を付けておくべきです。
民法では養子は全て相続人になります。
相続税法でも相続人ですが、相続税法でいう法定相続人になるには条件があります。
実子がいない場合は2人まで、実子がいる場合は1人までしか認められていません。

4.代襲相続人
血族相続人の第1順位となる直系卑属である「子」の相続権は、その相続人となるべき被相続人の子が相続の開始以前に死亡した時、又は欠格や廃除によって相続権を失った場合は、その者の子がこれを代襲して相続人となります。
相続人に死亡、欠格、廃除、という3つの原因のいずれかが生じている場合には、その相続人の子が相続すべき権利を受け継ぐことができます。
これを代襲相続と呼び、その相続する権利を受け継ぐ相続人の子のことを代襲相続人と言います。
この代襲相続は直系卑属についてはいつまでも続きます(子の子も亡くなっている場合は更にその子が代襲相続人になる)が、兄弟姉妹の場合は兄弟姉妹の子(甥・姪)で打ち切りです。
また、直系尊属(両親・祖父母)も直系卑属と同様の扱い(両親がなくなっていて祖父母が生きていて、祖父母が相続人になる場合)を受けますが、代襲相続とは呼びません。
なお、同時死亡(被相続人と相続人が同時に死亡)の場合には、同時死亡者間では相続が生じないという規定があります。
したがって、代襲相続人がいる場合には「相続開始以前の死亡」とみなされるため、孫などが代襲相続人となるわけです。
ただ、親子間の同時死亡の場合で代襲相続人がいない場合には、子の配偶者は親の相続人にはなりません
親に財産が偏っている場合には気を付けておかなければならないケースと言えるでしょう。

胎児は相続人になり得るのか?【相続手続きの相談窓口】


相続人については、民法と相続税法においては違いが生じることがあります。
民法866条で「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす」と定めており、2項で「前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない」としています。
民法では、相続開始時点で胎児がいる場合はまだ生まれていなくても相続権を与えているということです。
相続時に胎児であった者が相続人になれないとすると、胎児は不利益を受けてしまいます。そこで、「同時存在の原則」や「出生により初めて人は権利能力を取得する」という民法第3条第1項の例外規定として「胎児は生まれたものとみなす」という権利能力を与えているのです。
これを「解除条件説」といういます。
しかし一方で、判例では「停止条件説」が採られています。
胎児の間は権利能力を認めないが「生きて生まれたことを条件として権利関係の問題になる時点に遡って権利能力が生じるものとする」ということです。
相続税法でも胎児は相続人になるという前提をベースとしています。しかし、実務的には世の中に存在していない者が相続税の申告をすることができません。そのため、相続税法は停止条件説を採用しているのです。
具体的に言うと、胎児が誕生するまでは胎児は共同相続人ではないため除外して相続税を申告し、出生によって納税義務を生じさせているのです。この場合は、他の相続人も修正申告か、又は更正の請求をすることになります。
以前は相続税の申告期限が6ヶ月だったので、こうした矛盾が生まれていました。
現在申告期限が10カ月になった理由がここにあります。
現在は出生してから申告すればよいため、納税者、税務当局も余分な作業が省かれています。
そして判例・通説が停止条件説ということは、この説に従うと遺産分割を出生まで待つ必要があります。
さらに不動産登記実務では、相続人である胎児名義の登記手続きも認められていても遺産分割が終わらなければ登記できません。
また、「人の始期」も重要な論点となります。なぜならば、分娩前後に死亡した場合、胎児として死亡した場合は相続人と解されないが、分娩後に死亡した場合、相続人となり、その相続権はさらに相続されることとなるためです。
実務は停止条件説で行われるということです。

空き家火災、対策と所有者責任。【相続手続きの相談窓口】

空き家で火災が発生する原因とは?対策と所有者の責任についても解説

空き家を所有している方のなかには、「火を使うことがないから火災の心配はない」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし空き家から出火するのは珍しいことではなく、万が一近隣住宅に延焼すると、所有者が大きな責任を負うことになるかもしれません。
そこで今回は、空き家で火災が発生する原因や、火災を防ぐための対策、所有者の責任について解説します。
横浜市、湘南で空き家を所有している方は、ぜひ参考にしてみてください。


空き家で火災が発生する原因と発生しやすい空き家の特徴とは?

空き家で火災が発生する原因と発生しやすい空き家の特徴とは?

だれも住んでいない空き家でなぜ火災が発生するのか、まずはその原因や火災が発生しやすい空き家の特徴について解説します。

空き家で火災が発生する原因

主な原因として考えられるのは、以下の4つです。

  • 放火
  • タバコのポイ捨て
  • ガス漏れなどによる爆発
  • 配線機器のトラブル

空き家で起こる火災の原因でもっとも多いのは「放火」です。
空き家は人目につきにくいことから放火犯に狙われやすく、また発見が遅れるため、大きな火災になるケースが少なくありません。
また不法投棄の現場になることも多く、ポイ捨てされたタバコからゴミなどに燃え移ることもあります。
ガス設備や電気配線が劣化している空き家も多く、ガス漏れによって爆発したり、漏電したりして出火する可能性もあるのです。

火災が発生しやすい空き家の特徴

火災が発生するリスクが高いのは、以下のような空き家です。

  • 人通りが少ない立地にある
  • 玄関や窓を施錠していない
  • 家の周囲にゴミが置かれている
  • 庭の草が生い茂っている

人の目を気にせず、簡単に家のなかに入れる状態の空き家は、犯罪者の拠点にもなり得ます。
また空気が乾燥する時期には、周囲にあるゴミだけでなく庭の草も燃えやすくなり、小さな火種でも燃え広がる恐れがあります。
このように、戸締りや清掃などがなされていない、放置されている空き家は、火災が発生する恐れがあるため、早急に管理をおこなうなど対策を講じることが大切です。

空き家で火災が発生するのを防ぐための対策

空き家で火災が発生するのを防ぐための対策

放火やタバコのポイ捨て、漏電など、空き家の主な出火原因と、火災が発生しやすい空き家の特徴について前章で解説しました。
放置された空き家は危険であるため、所有しているあいだはしっかりと管理を続けることが大切です。
そこで次に、空き家で火災が発生するのを防ぐためにはどうすれば良いのか、対策方法について解説します。
空き家の火災を防ぐためには、放置せず、定期的に管理をおこなうことが大切です。
だれも住む予定がないのであれば、売却して処分することをおすすめしますが、すぐに決断するのが難しい場合は、以下のようなことを実践して管理をおこないましょう。

  • 空き家の周囲や庭をきれいにしておく
  • 自動照明を設置する
  • しっかりと戸締りをして不法侵入を防ぐ
  • 管理人がいることをアピールする
  • ご近所さんに連絡をお願いする

それぞれの対策方法について解説します。

空き家の周囲や庭をきれいにしておく

火災が発生するのを防ぐためには、まず空き家の周囲に燃えやすいものを置かないことが大切です。
空き家の周囲に雑誌やゴミなどを放置している場合は処分し、定期的に庭の手入れもおこなってください。
ダイレクトメールなどが届き、ポストから郵便物やチラシなどがあふれているケースもあります。
管理に訪れた際には、ポストのなかも忘れずにチェックしましょう。

自動照明を設置する

放火犯に狙われるのを防ぐ対策として、人の動きに反応して自動で照明が点灯する、人感センサーつきの電球を装置するのもおすすめです。
敷地内に侵入した放火犯を照らし、近隣住民や通行人にも不審者の存在を知らしめることができます。

しっかりと戸締りをして不法侵入を防ぐ

玄関や窓などに鍵がかかっておらず、簡単に侵入できる状態では、放火や不法侵入を防ぐことはできません。
すべてのドアや窓を確認してしっかりと戸締りをし、門扉などがある場合は施錠をして不法侵入を防ぐことが大切です。

管理人がいることをアピールする

定期的に訪れる管理人がいる物件は、放火犯などの犯罪者から敬遠されやすくなります。
したがって、業者名や連絡先などを記載した看板を設置しておくのがおすすめです。

ご近所さんに連絡をお願いする

ふだん空き家に住んでいない所有者は、なにか異変が起きても気づくことができません。
とくに火災は、対処が遅れると被害が近隣にも広がります。
そこで、なにか変わったことがあった場合は連絡をもらえるように、ご近所さんにお願いしておくことをおすすめします。
そのためには、管理に訪れた際に挨拶に行くなど、良い関係を保っておくことが大切です。

空き家で火災が発生したら所有者の責任はどうなるのか

空き家で火災が発生したら所有者の責任はどうなるのか

空き家の管理をおこない、火災が発生しないように対策を講じても、火災が起きる可能性がゼロになるわけではありません。
では万が一火災が発生した場合は、どうなるのでしょうか。
そこで最後に、空き家で火災が発生したときの所有者の責任について解説します。

失火の場合は責任を問われない

民法で定められたルールに従うと、本来、空き家が原因で近隣の住宅などに被害が及んだ場合、空き家の所有者が損害賠償責任を負う必要があります。
しかし火災については「失火責任法」で、失火の場合は民法が適用されないこととしています。
火災は大きく分けると「故意に発生させるもの」と「過失によるもの」に分けられ、失火とは「故意」ではなく「過失」によるものです。
失火責任法では、火災が失火の場合、近隣への損害賠償を免除されます。
たとえば空き家が火元となって火災が発生し、近隣に被害が及んだとしても、失火であれば所有者は責任を問われないということです。

重過失と判断されると責任を問われる

先述のとおり失火の場合は責任を問われないことになっていますが、失火責任法には「重大な過失がある場合は除く」という記載があります。
つまり、空き家の火災で重過失と判断された場合、所有者が責任を問われるということです。
重過失と判断されるのは、主に空き家の管理不足です。
たとえば空き家の管理を怠ったことによって電気配線が劣化し、ショートして漏電火災が起こった場合、所有者の管理不足だと判断される可能性があります。
そうなると、失火責任法の「重大な過失がある場合は除く」に該当し、所有者が責任を問われる場合があります。
また、放火など第三者のせいで起きた火事については、本来所有者に責任はありません。
しかし戸締りをしていなかった、燃えやすいゴミが放置されていたなど、空き家を管理していなかった場合は、重過失と判断される可能性があります。
その場合、放火であっても「容易に放火できる状況をつくった」とされ、所有者が責任を問われることになります。
空き家の火災リスクを減らすためには、しっかりとした管理が重要です。
しかし、火災リスクがゼロになるわけではないため、早めに売却して処分することを検討されてはいかがでしょうか。

まとめ

だれも住んでいない空き家であっても、火災が発生する可能性があります。
空き家の火災を防ぐためには、しっかりと管理をおこない、放火犯などに狙われないような対策を講じることが大切です。
とはいえ、火災が発生するリスクを抱え続けることに変わりはないため、空き家を将来活用しないのであれば、売却して処分することをおすすめします。

相続税の取得費加算の特例とは?併用可能な税制は?【相続手続きの相談窓口】

相続税の取得費加算の特例とは?ほかの税制と併用可能?

不動産を売却して譲渡所得(利益)が出ると、その金額に応じた譲渡所得税がかかります。
高く売却すると、その分税金の負担が重くなりやすいのがデメリットです。
しかし、相続で取得した不動産の場合、取得費加算の特例により、税金の負担を軽減できるかもしれません。
今回は取得費加算の特例とはなにか、できないケースやほかの税制との併用は可能なのかを解説します。

相続税の取得費加算の特例とはどんなもの?

相続税の取得費加算の特例とはどんなもの?

まずは、相続税の取得費加算の特例とはなにか、概要や要件について解説します。

概要
相続税の取得費加算の特例とは、相続した不動産を売却した際の、税金の負担を軽減する制度です。

支払った相続税の一部を、売却時の経費となる取得費に計上できます。
先述したとおり、土地や建物を売却して利益が出た場合、譲渡所得税がかかるのが一般的です。
譲渡所得税とは、売却で得た利益に応じて金額が変わるため、節税するためには譲渡所得を抑える必要があります。
ちなみに譲渡所得とは、不動産売却で得た総収入のことではありません。
売却した不動産を購入した際に支払った「取得費」と、売却時にかかった費用「譲渡費用」といった、経費をマイナスした金額です。
相続税の一部が取得費として計上できれば、経費が多くなります。
その結果、課税対象となる譲渡所得を小さくでき、譲渡所得税の節税につながると言うことです。
相続税と譲渡所得税、二重に負担することのないよう、税額を調整できるのが大きな特徴と言えるでしょう。

利用するための要件とは?

相続税の取得費加算の特例を利用するための要件は、下記のとおりです。

  • 相続や遺贈(遺言で財産を取得すること)によって財産を取得している
  • 財産を取得した方に相続税が課せられている
  • 相続の開始後、3年10か月以内に売却する

相続によって取得した財産であっても、相続税を支払っていない場合は利用できません。
また、一定の期間内に売却することも要件のひとつです。
相続税を支払ったあと、売却までの期間が長い場合、その財産から収益を得ていると見なされることがあります。
そのため、一定の期間を過ぎてしまうと適用外となる可能性が高いです。

計算方法とは?

取得費として計上できる相続税の金額は、下記の計算方法で算出します。
相続税の金額×相続税の課税価格を計算する際の基礎となった売却した財産の課税価格÷(相続した全体の課税価格+債務控除)
支払い済みの相続税のうち、売却した財産にかかる相続税の金額が、取得費として加算できます。
たとえば、支払った相続税が1億円、相続した財産が4億円(不動産2億円、金融資産2億円)だった場合、そのうちの2億円が不動産にかかる部分です。
この場合、支払い済みの相続税のうち、半分にあたる1億円を取得費に加算することができます。
金額にもよりますが、大きな節税効果が期待できるでしょう。
なお、取得費加算の特例は、売却した財産ごとに計算する必要があります。

相続税の取得費加算の特例が適用できないケースとは?

相続税の取得費加算の特例が適用できないケースとは?

続いて、相続税の取得費加算の特例が適用できないケースを解説します。

できないケース1:贈与で取得した財産の場合

適用できないケースとしてまず挙げられるのが、贈与で取得した財産の場合です。
たとえば、被相続人から生前贈与で取得した不動産は、相続後に売却しても取得費加算の特例は利用できません。
あくまでも、相続または遺贈によって取得した不動産を売却した際に、適用される特例です。
ただし、贈与であっても、相続時精算課税と3年以内加算制度を用いた場合、利用できる可能性があります。
相続時精算課税制度とは、2,500万円までの生前贈与なら、贈与税の課税を相続時まで先送りにできる制度です。
贈与時の税金が非課税となる分、相続時は贈与された財産も相続財産として加算されます。
生前贈与された財産を含め、相続財産の総額が基礎控除額を超えた場合、相続税の取得費加算の特例を利用できる可能性が高いです。
3年以内加算制度とは、生前贈与のあと、3年以内に被相続人が亡くなった場合に利用できます。
生前贈与がなかったと見なされ、贈与を受けた財産が相続財産に含まれます。
相続時精算課税制度と同様、適用要件は相続財産の総額が基礎控除額を超えた場合です。

できないケース2:夫婦間でのやりとりの場合

夫婦間でのやりとりの場合、できない可能性が高いです。
たとえば、夫が妻に不動産を相続させた場合、配偶者の軽減税率が用いられることがあります。
相続税が非課税となるのは、相続した財産の合計が下記に当てはまる場合です。

  • 1億6,000万円以下
  • 法定相続分相当額以内

相続税がかからなければ、取得費として加算できないことになります。

相続税の取得費加算の特例と併用できる税制とは?

相続税の取得費加算の特例と併用できる税制とは?

最後に、相続税の取得費加算の特例と併用できる税制について解説します。

併用できる税制1:3,000万円特別控除

併用できる税制としてまず挙げられるのが、3,000万円の特別控除です。
3,000万円の特別控除とは、居住用財産(マイホームなど)を売却した際に利用できる特例です。
要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円が控除できます。
この特例は利用できる方が多く、節税効果が高いのが特徴です。
相続税の取得費加算の特例とともに利用すれば、大きな節税効果を得られるでしょう。
ちなみに、相続した空き家の売却に利用できる3,000万円の特別控除がありますが、併用はできません。

併用できる税制2:買い換えの特例措置

居住用財産を売却した際の、買い換えの特例措置とも併用が可能です。
買い換えの特例措置とは、マイホームを買い換えた際に利用できる制度となります。
たとえば、相続した居住用財産を3,000万円で売却すると、譲渡所得に応じた税金が課税されるのが一般的です。
売却後に5,000万円の新居を購入した場合、買い換えの特例措置によって、3,000万円に対する税金は新居を売却した際に課税されることになります。
新居の譲渡所得税を計算する場合の取得費に、過去に支払った相続税の一部を計上できる仕組みです。

併用できる税制3:小規模宅地の特例

小規模宅地の特例も、併用できる税制のひとつです。
小規模宅地の特例とは、被相続人が相続開始の直前まで、居住用もしくは事業用で使用していた不動産を売却した際に利用できます。
一定の面積(300㎡)まで、相続税の課税価格を80%減らせるのが特徴です。
取得費加算の特例との併用が認められており、要件に当てはまれば税金を大幅に減額できるでしょう。
ただし、小規模宅地の特例は適用要件が複雑なので、まずは相続不動産売却の専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

相続した不動産を売却する場合、取得費加算の特例により税金の負担を軽減できる可能性があります。
ただし、一定の期間内に売却しなければならないことや、適用できないケースがあるため注意が必要です。
併用できるほかの税制と組み合わせれば、大きな節税効果を得られるため、要件に該当する場合はぜひ利用なさってください。

相続における換価分割とは?メリット・デメリットや税金【相続手続きの相談窓口】

相続における換価分割とは?メリット・デメリットや税金も解説相続が発生すると、被相続人の財産を平等にわける必要があります。

遺産の分割方法は複数あり、そのなかのひとつが「換価分割」です。
今回は換価分割とはなにか、メリット・デメリットと換価分割でかかる税金をあわせて解説します。
遺産分割協議書の書き方もご説明しますので、横浜市や川崎市、湘南エリアで不動産を相続する予定の方は、ぜひ参考になさってください。

相続の換価分割とはなに?

相続の換価分割とはなに?

まずは、相続の換価分割とはなにか、遺産分割協議書の書き方とともに解説します。

換価分割とは?

換価分割とは、相続した財産を売却し、金銭に換えてから分割する方法です。
土地や建物など、分割しにくい財産を相続した場合に用いられます。
たとえば、相続した財産が時価3,000万円の土地で、法定相続人がAさん・Bさん・Cさんの3人だったとします。
土地を売却し、現金をそれぞれ1,000万円ずつ分割するのが換価分割です。

換価分割が適しているケースとは

換価分割が適しているのは、下記のようなケースです。

  • 活用予定がなく、そのままの形での取得を誰も希望しない
  • 相続税を支払うための現金を用意したい

たとえば、活用予定がなく、取得を誰も望んでいない不動産が相続財産に含まれるケースでは、換価分割が適しています。
土地や建物は所有しているだけでコストがかかるため、維持が困難だと判断し、敬遠する相続人も少なくありません。
また、相続税を支払うための現金を用意したい場合も、換価分割が適しているケースです。
相続税は原則として現金一括払いであるため、まとまった現金を準備する必要があります。
相続税の納付期限内に売買契約が成立した場合、換価分割で得た金銭を相続税の納付にあてることが可能です。

その他の分割方法とは

換価分割以外の分割方法は、下記の3つです。

  • 現物分割
  • 代償分割
  • 共有分割

現物分割とは、財産の性質を変えずにわけることです。
相続した財産が土地と預貯金で、法定相続人がAさん・Bさんの2人だったとします。
Aさんが土地、Bさんが預貯金のように分割するのが現物分割です。
代償分割とは、不動産を取得した方が、他の方に代償金を支払う方法です。
たとえば相続した財産が時価3,000万円の土地のみで、Aさんが取得した場合、BさんとCさんにそれぞれ1,000万円ずつ支払い調整します。
共有分割とは、ひとつの不動産を、相続人同士で共有することです。
法定相続分に沿って、それぞれが持分を共有します。

遺産分割協議書の書き方とは

換価分割における遺産分割協議書の書き方は、共同名義か単独名義(代表者の名義)かで異なります。
遺産分割協議とは、誰がどの財産をどのくらいの割合で取得するかを話し合うことです。
共同名義の場合、一般的には遺産分割協議をおこなったことや、相続人それぞれの持分、不動産の情報や換価分割にて現金をわける旨を記載します。
単独名義の場合は、遺産分割協議にて誰が財産を相続するのか、不動産の情報や、換価分割によって現金をどのような割合でわけるのかを記載するのが一般的です。

相続で換価分割を用いるメリットとデメリット

相続で換価分割を用いるメリットとデメリット

続いて、相続で換価分割を用いるメリットとデメリットを解説します。

メリット1:公平性を保てる

メリットとしてまず挙げられるのが、公平性を保てることです。
換価分割は財産を現金化し、1円単位で分割できます。
現物分割の場合、取得する財産の資産価値によっては、不満が生じる恐れがあるでしょう。
平等にわけられれば、円満な相続をおこなえます。

メリット2:分割が困難な財産でもわけやすい

土地や建物は、物理的に分割するのが困難な財産です。
換価分割を用いれば、スムーズに分割できます。
相続した財産が不動産のみの場合などに、換価分割が効果を発揮するでしょう。

メリット3:相続税の節税につながる

メリットとして、相続税の節税につながることも挙げられます。
相続税は、相続財産の評価額をもとに計算します。
土地は時価の8割程度、建物は時価の7割程度で評価されるのが一般的です。
そのため、現金に比べて相続税を節税できる可能性が高いと言えます。

デメリット1:財産を売却しなくてはならない

デメリットは、財産を売却しなくてはならないことです。
思い入れのある実家や、活用したい土地や建物であっても手放さなければなりません。
相続人の中に「実家を残したい」などの理由で換価分割に反対する方がいる場合は、話し合いが難航する恐れがあります。

デメリット2:手続きに手間や費用がかかる

手続きに手間がかかるのも、デメリットのひとつです。
換価分割を用いる場合、財産を売却する必要があります。
不動産の査定から引き渡しまでは、多くのステップを踏まなくてはなりません。
また、売却する際は仲介手数料や印紙代などの費用もかかります。

デメリット3:すぐに売却できない可能性がある

デメリットとして、すぐに売却できない可能性があることも挙げられます。
不動産は売りに出したからと言って、すぐに売却できるとは限りません。
とくに注意したいのが、相続税は相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に納める必要があることです。
期間内に売却できなくても、相続税を支払う必要があります。
また、査定金額より売却価格が安くなるケースも少なくありません。
相続税の支払い時期が迫っていることで足元を見られ、値引き交渉に応じなければならない可能性もあります。

換価分割での相続にかかる税金

換価分割での相続にかかる税金

最後に、換価分割で相続する場合にかかる税金について解説します。

税金1:相続税

課税対象となる財産が相続税の基礎控除額を上回る場合、相続税がかかります。
課税対象となる財産とは、現金や預貯金などのプラスの財産から、借金や未払金といったマイナスの財産を差し引いたものです。
プラスの財産には、換価分割した不動産も含まれます。
相続税の基礎控除額の計算方法は、下記のとおりです。
基礎控除額=3,000万円+(法定相続人の数×600万円)
上記の計算式で算出した金額より、課税対象となる財産の金額が大きいと、相続税がかかります。

税金2:譲渡所得税

換価分割でかかる税金として、譲渡所得税も挙げられます。
譲渡所得税とは、不動産を売却して譲渡所得(売却益)が生じるとかかる税金です。
譲渡所得に対してかかるため、どのくらいの利益が出たかによって課税額は異なります。
譲渡所得の計算方法は、下記のとおりです。
譲渡所得=不動産の売却価格-(取得費+譲渡費用)
取得費とは、相続した不動産の購入時にかかった費用で、不動産取得税や登記費用などが挙げられます。
譲渡費用とは、仲介手数料や印紙代など、売却時にかかった費用です。
ただし、特別控除の利用により譲渡所得がゼロになり、譲渡所得税が非課税になるケースもあります。

税金3:贈与税

換価分割をする旨と現金の分配割合を遺産分割協議書に記載すれば、基本的に贈与税が課されることはありません。
ただし、記載が不十分な場合は贈与とみなされる恐れがあります。

まとめ

換価分割での相続には、分割が困難な財産でも平等にわけられるといったメリットがあります。
その一方で、思い入れのある不動産を手放す必要があることなどがデメリットです。
換価分割では、相続税のほかに譲渡所得税がかかる可能性もあるため、事前によく確認しておきましょう。

相続手続きと不動産に精通した行政書士が対応しますので、不動産の換価分割や遺産分割協議書作成などでお悩みの方は「相続手続きの相談窓口」にご相談ください。

不動産相続における数次相続とは?注意点や手続きの方法【相続手続きの相談窓口】

不動産相続における数次相続とは?注意点や手続きの方法を解説

不動産相続では、やることや注意点がたくさんあります。
そのため「手続きが難しい…」とお考えの方も多いのではないでしょうか。
なかでも特殊なのが「数次相続」というものです。
今回は数次相続とはどのようなものか、注意点や相続の方法を解説します。

不動産相続における数次相続とはなに?

不動産相続における数次相続とはなに?

まずは、不動産相続における数次相続とはなにかを解説します。

数次相続とは

数次相続とは、すでに発生している不動産相続の最中に、別の相続が発生することです。
最初の相続で相続人となっていた方が亡くなると、数次相続となります。
被相続人が亡くなった場合、遺産分割協議をおこなうのが一般的です。
遺産分割協議とは、誰がどの財産をどれくらいの割合で取得するのか話合うことです。
また、財産の名義を被相続人から相続人へ変更する相続登記も必要になるでしょう。
数次相続とは、遺産分割協議や相続登記の手続き途中に相続人の誰かが亡くなり、次の相続が発生してしまうことを指します。

数次相続の例とは

父親が亡くなり不動産の相続が発生した場合、母親と子どもが法定相続人となります。
そのため、遺産分割協議は母親と子どもでおこなうのが一般的です。
父親の財産の遺産分割協議をおこなっている最中に、母親が亡くなった場合、子どもは父親だけでなく母親の財産の遺産分割協議をおこなわなくてはなりません。
父親から母親、子どもへと数回に渡り相続が発生しているため、数次相続が生じている状態となります。

珍しいケースではない

数次相続は、通常の不動産相続とは違い聞きなれない方も多いことと思います。
しかし、横浜市や川崎市、湘南エリアにおいても、珍しいケースではありません。
高齢の夫婦で夫が亡くなったあと、少しあいだを空けたタイミングで妻が亡くなることがあります。
年齢の近い夫婦が立て続けに亡くなった場合、発生する可能性が高いといえるでしょう。

代襲相続の違いとは

不動産における代襲相続とは、本来相続人になる方が亡くなっており、次の世代が被相続人の財産を取得することです。
たとえば、祖父や祖母が亡くなり相続が発生し、法定相続人である父親や母親が亡くなっている場合、子どもに相続権が移ります。
相続人が亡くなったのが、被相続人の相続が発生する前かあとかがポイントです。
両者は混在しやすいですが、似て非なるものであることを押さえておきましょう。


不動産相続で数次相続が発生した場合の注意点

不動産相続で数次相続が発生した場合の注意点

続いて、不動産相続で数次相続が発生した場合の注意点を解説します。

注意点1:相続税申告と納税義務が継承される

注意点としてまず挙げられるのが、相続税申告と納税義務が継承されることです。
国税通則法および相続税法において、申告義務のある方が手続きの前に亡くなった場合、その相続人が申告および納税義務を引き継ぐこととされています。
先述の「数次相続の例とは」で解説したケースでは、子どもが母親の義務も引き継ぐことになります。
不動産の相続権が子どもに移転すると同時に、相続税などの納税義務も継承するということです。

注意点2:税金の申告期限が延長される

税金の申告期限が延長されることも、注意点のひとつです。
相続税の申告期限は、期限(被相続人が亡くなったことを知った翌日から10か月以内)が定められています。
数次相続では、最初の相続で相続税の申告をしようとしていた方が、亡くなったことを知った翌日から10か月以内です。
ただし、申告期限の延長は最初の相続と次の相続で相続人になる方のみが対象となります。
最初の相続で相続人とならず、次の相続で相続人となった場合、申告期限は本来のままです。

注意点3:相続放棄すると最初の相続も承認されない

相続では、不動産や預貯金などプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も取得することになります。
そのため、マイナスの財産が多い場合、相続放棄することも可能です。
数次相続では、最初の相続と次の相続において、放棄と承認をそれぞれおこなえます。
「マイナスの財産が多い最初の相続は放棄し、次の相続は承認する」といったことが可能です。
ただし、2回目の相続を放棄すると相続権がなくなるため、最初の相続も承認されません。
もともと相続人でなかったと判断されるからです。

注意点4:基礎控除は増えない

注意点として、基礎控除は増えないことも挙げられます。
相続税の基礎控除額は、下記の計算式で算出します。
3,000万円+600万円×法定相続人の数
そのため、法定相続人の数が増えると控除額が増えることになります。
しかし、数次相続の場合、最初の相続が発生した時点での法定相続人の数が用いられるため、人数が増えることはありません。
法定相続人の数は、それぞれカウントすることになります。


不動産相続で数次相続となった場合の手続きの方法

不動産相続で数次相続となった場合の手続きの方法

最後に、不動産相続で数次相続となった場合の、手続きの方法を解説します。

方法1:相続人を確定する

まずは、相続人を確定することから始めます。
相続が発生した場合、一般的には遺産分割協議をおこないます。
遺産分割協議とは、誰がどの財産をどのくらいの割合で取得するかを、相続人全員で話合うことです。
誰か1人でも欠けた状態で協議しても、その話合いは無効となります。
そのため、すべての相続人を確定しなければなりません。

方法2:遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議書とは、遺産分割協議の内容をまとめた書類です。
数次相続の場合、内容をひとつにまとめる方法と、相続ごとに別々にする方法があります。
混乱を招く可能性があるため、別々に作成するのがおすすめです。
また、通常の不動産相続と書き方も異なる点があります。

  • 相続人に関する内容
  • 相続人の署名方法

不動産相続における遺産分割協議書には、相続人それぞれが署名と捺印をします。
通常であれば「相続人:〇〇」と記載するところを、数次相続の場合は「相続人兼〇〇の相続人△△」と記載しなければなりません。
相続人としての立場が重なる場合は、上記のような書き方で署名します。

方法3:相続登記する

不動産を相続したあとは、相続人の名義で相続登記をおこないます。
数次相続では、相続登記が複数回必要となるため、手間や費用がかかるのがデメリットです。
しかし、中間の相続人が1人で、単独相続の場合は、最初の名義人から最後の相続人へ直接移転することが可能になっています。
中間省略登記と呼ばれるもので、登記費用の節約につながったり、手続きの手間を省けたりするのがメリットです。
また、相続登記には下記の書類が必要となります。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本と除籍謄本
  • 相続人の戸籍謄本と印鑑証明書、相続人全員の住民票の写し
  • 遺産分割協議書
  • 固定資産税の評価証明書
  • 不動産の登記簿謄本

状況によっては、上記以外にも別途書類が必要になります。

まとめ

不動産相続では、数次相続が発生するケースも少なくありません。
そのため、相続税の申告や納税、相続放棄に関する注意点について、あらかじめ理解を深めておくと良いでしょう。
数次相続が生じた場合の手続きの方法も知っておくと安心です。

相続手続きと不動産に精通した行政書士が対応しますので、数次相続、不動産相続などでお悩みの方は「相続手続きの相談窓口」にご相談ください。

空き家等対策の推進に関する特別措置法一部改正【相続手続きの相談窓口】


令和5年6月14日、空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律が公布されました。
 改正法の施行期日は、公布から6カ月以内となっています(施行日は別途政令で定めます)。

【背景】
「空き家」とは、一般的には「誰も住んでいない家」のことをいいます。平成27年(2015年)5月に全面施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法(以下「空家法」という。)」第2条第1項で定義される「空家等」は、「概ね年間を通して居住やその他利用がされていない建築物(住宅に限らない)」を対象としています。
また、総務省が実施している「住宅・土地統計調査」では、空き家を次の4種類に分類しています。

a.売却用の住宅…新築・中古を問わず、売却のために空き家になっている住宅
b.賃貸用の住宅…新築・中古を問わず、賃貸のために空き家になっている住宅
c.二次的住宅…別荘などの普段は人が住んでいない住宅
d.その他の住宅…1~3以外の人が住んでいない住宅で、転居・入院などで長期不在の住宅や取り壊し予定の住宅など

このうち、「売却用の住宅」、「賃貸用の住宅」、「二次的住宅」の空き家については、別荘などとして現に使用されていたり、売却や賃貸のために管理されていたりすると考えられます。一方、「その他の住宅」に分類される空き家は、現に人が住んでおらず、長期にわたって不在であり、そのまま放置される可能性が高い空き家といえます。「その他の住宅」は定期的な利用がされず、管理が不十分な状態となりがちであるため、その増加は近年大きな社会問題になっています。
「住宅・土地統計調査」(総務省)によれば、「その他の住宅」の空き家は、平成10年(1998年)から平成30年(2018年)の20年間で、約1.9倍の182万戸から347万戸に増加しており、今後も急速に増加していくと予想されています。

平成27年に空き家等対策の推進に関する特別措置法(空き家特措法)が施行されても上記のように空き家がどんどん増えてしまっています。
空き家は、所有している自分たちだけの問題ではなく、近隣にも大きな影響を与える存在となります。
「そのうちどうにかしよう」と考えて放置していると、家屋の状態が悪くなり、近隣に迷惑をかけてしまいます。どのような事情であれ、空き家の所有者にはきちんと管理する責任があることから、空き家特措法の一部を改正して対策することとなったようです。

【改正のポイント】
「ポイント1.管理不全空き家の新設」
今回の改正の最も大きなポイントは、状態は悪くないが1年程度住んで(使われて)いない「空き家」と、状態が悪く周囲に悪影響を及ぼすような「特定空き家」の間の空き家として、「管理不全空き家」というカテゴリーを設けたことです。
現状ではひどく状態が悪化していないが、今後放置すれば「特定空き家」となり得るような空き家を、「管理不全空き家」として指定することになりました。これまで「特定空き家」になるまで対応しにくかった、行政による改善の指導・勧告が行えるようになります。


「ポイント2.管理不全空き家は固定資産税の減免解除」
上の図にもありますが、勧告を受けた「管理不全空き家」は、固定生産税が1/6に減額される住宅用地特例が解除されます。
これまで、相続で親が住んでいた家を引き継ぎ、その家に住まず空き家となっているような状況で、相続人(例えば子ども)がその土地を保有しながら減税措置を受け続けるために、家をそのまま放置するようなケースが散見されていました。このように「減税処置を受けるために放置された空き家」が、その後「特定空き家」となってしまうわけです。そこで、今回の改正では、住宅の状態が悪化する前の段階からこうした措置を厳格化することで「空き家管理の確保」を図り、周辺住民の住環境を維持しようというわけです。

「ポイント3.所有者の責務強化」
現行の「適切な管理の努力義務」に加え、国、自治体の施策に協力する努力義務が追加されています。
「空き家」の管理は、いうまでもなく所有者が適切に行うべきことですが、現行法の「適切な管理」に対する努力義務に加えて、「国・自治体の施策に協力する」という努力義務が追加されたということです。空き家に係る国や地方自治体の施策に対して、「聞く耳をもたない」ではなく、「適切に対応してください」ということです。

「ポイント4.空き家の活用拡大」
空家等活用促進区域 (例)中心市街地、地域の再生拠点、観光振興を図る区域等
・ 市区町村が区域や活用指針等を定め、用途変更や建替え等を促進
⇒安全確保等を前提に接道に係る前面道路の幅員規制を合理化
⇒指針に合った用途に用途変更等する場合の用途規制等を合理化
・ 市区町村長から所有者に対し、指針に合った活用を要請
財産管理人による所有者不在の空家の処分
支援法人制度
・ 市区町村長がNPO法人、社団法人等を空家等管理活用支援法人に指定
・ 所有者等への普及啓発、市区町村※から情報提供を受け所有者との相談対応
※事前に所有者同意
・ 市区町村長に財産管理制度の利用を提案

市区町村が、中心市街地や地域の再生拠点、観光振興地区などの「空き家等活用促進地域」の指定権限を持つことになり、また、同地域の指定や空き家等活用促進指針を定め、用途変更や建て替えなどを促進できるように、接道規制や用途規制の合理化を図ることができるようになります。加えて、市区町村長は、区域内の空き家等所有者らに対して、指針に沿った活用を要請することができるようになります。さらに空き家等の管理・活用に取り組むNPOや社団法人などの団体を、市区町村長は「空き家等管理活用支援法人」に指定できるようになります。空き家対策は地域促進につながることから、地方自治体への権限移譲が図られます。

「ポイント5.特定空き家の除去などの円滑化」
状態の把握
・ 市区町村長に報告徴収権(勧告等を円滑化)
代執行の円滑化
・ 命令等の事前手続を経るいとまがない緊急時の代執行制度を創設
・ 所有者不明時の代執行、緊急代執行の費用は、確定判決なしで徴収
財産管理人※による空家の管理・処分(管理不全空家、特定空家等)
・ 市区町村長に選任請求を認め、相続放棄された空家等に対応
※所有者に代わり財産を管理・処分。 (注)民法上は利害関係人のみ請求可

市区町村長に「特定空き家」に関する報告徴収権が与えられます。これにより資料の提出などを求めることができ、勧告等が円滑に行われるようにします。
また、除却などの代執行が円滑に進むように、①命令等の事前手続を経る時間がない緊急時の代執行制度が創設され、②所有者不明時の代執行、緊急代執行の費用は、確定判決なしで徴収できるようになります。

「空き家対策」は大きく進みましたが、実際に相続して空き家になってしまい、どうしたらよいのかわからないことも多いと思います。確かに難しいです。
でも、そのままにしておくと固定資産税も高くなってしまったり、事故の発生率も高まり所有者責任が問われるリスクも高くなります。
不動産の取り扱いで迷ったら、こう考えてください。
「使わない不動産を所有するのは、負債を抱えているのと同じ。」
不動産は自分で使用・活用するか、収益不動産として活用したり、売却することができて、資産性が認められるものです。

空き家をどうするかお悩みの方は、「相続手続きの相談窓口」にお気軽にご相談ください。
不動産に精通している行政書士が、安心いただける方法をご提案させていただきます。

死因贈与契約の落とし穴【相続手続きの相談窓口】

一生身の回りの世話をして生活費をくれるなら、自宅土地建物をやるという死因贈与契約の落とし穴。

【事例】
長男である私は、母に「私と同居して身の回りの世話をして、また生活費として終身10万円くれるのであれば、自宅の土地建物をあなたに贈与する」と言われ、長年母と同居して身の回りの世話をして生活費も渡してきた。ただ、最近母との人間関係が悪化し、母親が「自宅の土地建物は妹にやる。お前にはやらない。」と言い出している。こんなことが認められるのでしょうか?

【よくある誤認例】
生活費を渡すという負担の履行をしているので、もはや死因贈与契約を取り消すことはできない。

【実際のところは】
負担が履行された場合には、原則として取り消しできないが、特段の事情があれば取り消すことができる。
例えば、長男の扶養・介護に著しい問題があった(虐待等)、あるいは支払っていた毎月の生活費の総合計と受贈予定の不動産価値に著しい不均衡があれば、死因贈与契約の取り消しが認められる場合もある。

【解説】
本事例は、法律的に言えば、負担付死因贈与契約については、そもそも取り消しが認められるのかという問題です。
この点は負担の履行がされれば、もはや取り消しできないという立場や、負担の履行の有無を問わず取り消しできるという争いがありましたが、最高裁は負担の履行がなされた場合には、原則として取り消しできないが、特段の事情があれば取り消しできるというや立場を取っています。(最判昭57・4・30判タ470・116)
最高裁は「負担の履行期が贈与者の生前と定められた負担付死因贈与契約に基づいて受贈者が約旨に従い負担の全部又はそれに類する程度の履行をした場合においては、贈与者の最終意思を尊重する余り受贈者の利益を犠牲にすることは相当でないから、右贈与契約締結の動機、負担の価値と贈与財産の価値との相関関係、右契約上の利害関係者間の身分関係その他の生活関係等に照らして右負担の履行状況にもかかわらず負担付死因贈与契約の全部または一部の取り消しをすることがやむをえないと認められる特段の事情がない限り、遺言の取り消しに関する民法1022条、1023条の各規定を準用するのは相当でないと解するべきである」と述べています。
結局は「やむを得ないと認められる特段の事情」の有無によって結論が決まるわけですが、その規範の具体的当てはめについては、東京地裁平成5年5月7日判決(判タ859・233)などが参考となります。
本事例についても、負担の内容が母親にとっても利益があると考えられます。また、最近になるまで母親は長男を信頼して長男もまじめに扶養・介護していた実績がありますので、よほどの事情がない限り死因贈与契約の取り消しはできないと考えます。

相続放棄すると相続税の基礎控除で不利になるのか?【相続手続きの相談窓口】


たとえば、
父が生前に、事業承継者である長男と二男には、それなりの生前贈与をしていたので、長男と二男は父の遺産分割では何も取得せず、父と同居していた未婚の長女に全ての遺産を取得させるつもりだが、長女が遠慮しているのか、同意をしない。
そこで、長男・二男としては、相続放棄申述申立てをしようと相談しているが、相続放棄申述申立てをすると、相続人の数が減るため基礎控除額が減って相続税が高くなり、長女に迷惑かけるのではないかと心配している。
このような場合には、相続放棄申述申立てをしない方がよいのか。

【実際のところはどうなのでしょうか】

つまり、相続放棄申述申立てを行い、受理されれば、その受理証明書を長女に交付してあげればよいだけです。

【解説】

相続税法上の基礎控除と法定相続人一人当たりの控除額を計算する際には、「法定相続人の数は、相続を放棄した人がいても、その放棄が無かったものとした場合の相続人の数をいいます。」(国税庁タックスアンサーNo.4152)とされています。

限定承認の落とし穴【相続手続きの相談窓口】



こんな時どうします?
熟慮期間の周期は迫っているが、遺産の調査は十分に行えていない。
資産超過の可能性の方が高いものの、債務超過の可能性もあるため、単純承認か限定承認か悩んでいるが、どちらが良いか?

【解説】
限定承認をした場合、被相続人から相続人に対して、相続開始時に、相続開始時の時価で、遺産の譲渡があったものとみなされ、被相続人に譲渡所得税が課税されることになります。
そのため、実際には資産超過であったにもかかわらず、限定承認に伴い譲渡所得税が課税されてしまったがゆえに、債務超過になる、あるいは、弁済すべき債務が増える結果となる可能性があります。
したがって、上記のような状況においては、安易に限定承認すべきではなく、熟慮期間の伸長も含め、可及的に遺産の調査を行った上で、単純承認か限定承認か判断した方が良いということです。
なお、限定承認に伴う譲渡所得税の申告は準確定申告であり、相続人が相続の開始があったことを知った日から4カ月以内に行う必要があるため、熟慮期間の伸長に関しては、この点も考慮しなければなりません

相続人が相続放棄をしつつ遺贈により遺産を取得できるの?【相続手続きの相談窓口】


【事例】
被相続人は多額の負債を残して亡くなりました。
しかし、その所有する無担保の不動産や高価な動産類については、相続人らに遺贈する旨の遺言書を作成していた。
受遺者である相続人らは、相続放棄をして相続債務の負担は免れつつ、遺贈を受けた遺産については取得しようと考えているが、そのようなことは可能なのでしょうか?

本当のところはどうなるんでしょうか?

【解説】
1.前提
まず、本事例のような相続人の行為が問題となるのは、相続人に対して特定遺贈や死因贈与が行われた場合になります。
相続人に対して積極財産たる遺産を取得させる方法としては、ほかに遺産分割方法の指定や包括遺贈が考えられますが、これらの場合には、相続債務も承継することとなり、その負担を免れるに相続放棄や包括遺贈の放棄を行うと、積極財産たる遺産についても承継できなくなります。
したがって、相続人に対して遺産分割方法の指定や包括遺贈が行われた場合であれば、相続債務の負担を免れつつ積極財産たる遺産のみを取得することはできなくなります。

2.本事例のような特定遺贈の場合
本事例のように、相続人に対して特定遺贈が行われた場合には、相続放棄をして相続債務の負担を免れつつ、積極財産たる遺産を取得することは可能なのでしょうか?
特定遺贈で取得した積極財産以外の財産で相続債務を完済できるような状態であれば特に問題は生じないものと思われます。
しかしながら、特定遺贈と相続放棄が行われることにより、相続債権者が害されるような場合であれば、やはり問題があると言えます。
この点については、あまり議論されていないようですが、債務の返済が困難な資産状態の中で特定遺贈が行われ、責任財産の減少が来されるような場合には、当該特定遺贈が詐害行為取消権(民424)の対象となるのではないかという点が問題になり得ます。
遺贈も法律行為である以上、その適用可能性を否定することはできませんし、例えば、遺産分割協議について、亡夫の遺産を相続人たる妻(債務者)が取得せず、ほかの相続人である子らに取得させる遺産分割協議を行ったことが詐害行為にあたるとして、妻の債権者による詐害行為取消権の行使を認めた最高裁判例もあります。
ちなみに、限定承認をした相続人が死因贈与による不動産の取得を相続債権者に対抗することは信義則違反とする最高裁判決もあり、債務負担を免れつつ積極財産である遺産のみを取得しようとする行為に対する裁判所の厳しい態度が見て取れます。
このような傾向からすると、相続人が相続債権者のを害することを知りながら、相続放棄をしつつ遺贈により遺産を取得しようとしても、詐害行為取消権の対象とされたり、権利の乱用と判断されるリスクもあるものと思われます

賃借物件を引き払うと相続放棄できなくなるの?【相続手続きの相談窓口】


【疑問】
〇相続人から被相続人の賃貸借契約を解約しても相続放棄できるか?
〇大家から賃貸借契約解約に基づく明渡請求に応じても相続放棄できるか?
〇家財を処分しても相続放棄できるか?



【解説】

①単純承認、限定承認、相続放棄の選択権
 民法上は、相続人には、相続をするか否かについて単純承認、限定承認、相続放棄の選択権が認められています。
 熟慮期間内であれば、相続人は、家庭裁判所に対して相続放棄の申述を行うことで相続放棄ができますが、「相続人が相続財産の全部又は一部を処分」した場合は単純承認したものとみなされ、以後、有効な相続放棄はなし得なくなります。
 賃借物件の賃貸借契約の解除は、債務の増加を防止するという点に着目すれば、保存行為と評価される可能性もあると思われますが、他方で、賃借権を消滅させるという効果に着目すれば、処分行為と評価される可能性は十分にあると思われます。
 よって、結果的に相続放棄をしなかった場合、無駄な債務を負担する結果となりますが、上記のリスクからすれば、相続放棄をするか否かについて確定するまでは、相続人から賃貸借契約の解約を行うべきではなく、相続放棄後に、事務管理として賃貸借契約の解約を行うべきでしょう
ただし、相続放棄であっても、解約に伴う明渡に際して賃借物件内の家財等を着服すれば、単純承認したとみなされる可能性があるため注意が必要です。

②大家からの賃貸借契約の解約後、明渡しの請求に応じた場合
 相続人からではなく、大家から賃貸借契約の解約がなされ、その後、明渡しの請求に応じることは、弁済期の到来した債務の履行として保存行為に当たるため、特に問題ありません。
ただし、この場合でも、家財を処分すると処分行為があったとされる可能性があるため、相続放棄をするか否かについて確定するまでは処分はするべきではないでしょう。

遺言書に記載すれば相続人の廃除が必ず認められるのでしょうか。【相続手続きの相談窓口】



被相続人Xは、生前、その法定相続人Yにつき、いろいろ苦労かけられたとして、秘かに相続人から排除したいと考え、遺言書にその旨を記載した。これにより当然にBは相続人から排除されるのでしょうか。

よくある誤認

なお、遺言書に遺言執行者の記載がなければ、まず家庭裁判所に民法1010条に定める遺言執行者選任の申立てを行い、これにより選任された遺言執行者により相続人廃除の申立てを行う必要があります。

実際は


解説

推定相続人の廃除とは、
①被相続人に対する虐待
②被相続人に対する重大な侮辱
③推定相続人の著しい非行
のいずれかに該当する場合に、被相続人の意思により推定相続人の相続権を剥奪するという制度であり、その意思表示は遺言書で行うこともできるとされています。

しかしながら、廃除が相続権の剥奪という重大は効果を生じるものである以上、いずれの廃除事由にせよ、被相続人の主観的な判断では足りず、客観的に被相続人との間の相続的協同関係を破壊する可能性を含む程度のものである必要があるとされています。
例えば、一時的な感情にかられての行為や、廃除事由の作出につき被相続人側にも責任の一端があると認められるような場合には、裁判実務上は廃除事由を否定する傾向にあると言えます。
特に遺言によって廃除の意思表示が行われた場合には、被相続人が生前に廃除の意思表示をする場合と異なり、廃除の意思表示が判明した時には被相続人は死亡しているため、廃除事由に該当する具体的事実を明らかにできない事態が想定されます。
遺言内容を実現すべき遺言執行者としては、廃除の意思表示が遺言に記されている以上、その内容を実現すべく、まず、家庭裁判所に相続人廃除の申立てをした上で、可能な範囲で廃除事由に該当する具体的な事実の有無を調査し、その存在を家庭裁判所に立証していくことが求められますが、現実にはその立証にはかなり困難を伴うものと思われます。
特に遺言執行者の記載がなければ、まず家庭裁判所に民法1010条に定める遺言執行者選任の申立てを行い、これにより選任された遺言執行者が相続人廃除の申立てを行うことになりますので、より廃除事由の立証が困難になると思われます。

まとめ
遺言によって相続人の廃除したい場合には、まず遺言書でその旨明記し曖昧な文言は使用しないことです。
曖昧な文言とは、「相続させない」とか「一切相続させない」というような、相続人廃除の意思表示なのか、単に相続分を0とするという意思表示なのか、遺言執行者が相続判所の意思表示であると判断しにくい文言のことです。
遺言書作成の際には、遺言執行者に無駄な時間と労力をかけさせないためにも、意味内容が一義的に明確となる文言を使用すべきです
「相続人から廃除する」と。
その上で、廃除したい推定相続人につき、具体的にどのような廃除事由が存在するかを明確にし、これを根拠付ける資料を添えて、遺言執行者にしっかり託しておくようにしましょう

遺言書の検認申立てをしない相続人は相続欠格となるのか?【相続手続きの相談窓口】


「疑問」
相続人Xは、遺言書を保管しているにもかかわらず、その内容を明らかにせず、検認申立てもしない。このような行為は遺言書の隠匿に等しいと思うので、相続欠格事由に該当すると見て、Xを除外して遺産分割協議を行っても差し支えないか?

「よくある誤認」


「本当のところは」


          「解説

1.遺言の破棄、隠匿と相続欠格
 遺言書が存在しているにもかかわらず、これを破棄又は隠匿すれば、民法第891条第5号に該当し、相続欠格として、法律上、当然に相続権を失うことになるほか、受遺者にもなれないとされています。(民965)

2.最高裁判所の解釈
 最高裁平成9年1月28日判決は、遺言書を破棄又は隠匿した場合において「相続人の右行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、右相続人は、民法891条第5号所定の相続欠格には当たらないものと解釈するのが相当である」としています。
これは、民法891条第5号の趣旨を、遺言に関して著しく不当な干渉をした相続人に対して相続人となる資格を失わせるという民事上の制裁を科そうとするところにあると捉え、遺言書の破棄又は隠匿が相続に関して不当な利益を目的とするところではなかったときは、これを遺言に関する著しい干渉とすることはできず、このような行為をした者に相続人としての資格を失わせるという厳しい制限を科すことは、民法891条第5号の趣旨に添わないとする見地からだと言われております。

3.不当な利益目的の有無の判断
 したがって、本事例においても、もともと遺言書の内容が相続人Xにとって有利なものである場合には、通常、Xに不当な利益目的を認めることはできず、Xは相続欠格に該当しないものといえます。しかしながら、隠匿したものに有利な遺言書の内容であっても、遺留分減殺請求を受けることをおそれ、遺産の全部を一人で承継することを画策し、相続開始後2年余りにわたって他の共同相続人に遺言書の存在を隠匿していたケースで、相続欠格に該当すると判断された裁判例もありますので注意が必要です。
結局、当該隠匿ケースが、相続欠格に該当するか否かの判断は、民法891条第5号の立法趣旨に照らして個別的に検討していく必要があります。
    
4.遺言公正証書の場合
 なお、遺言公正証書を破棄又は隠匿した場合はどうでしょうか?
 遺言公正証書については、その原本が公証人役場に保管されていることや、平成元年以降に作成されたものであれば、日本公証人連合会において、全国的に、遺言公正証書を作成した公証人役場名、公証人名、遺言者名、作成年月日等を調べることができ、そもそも隠匿はあり得ないのではないかと疑問が生じます。
しかしながら、大阪高裁昭和61年1月14日判決(判時1218・81)、東京高裁平成3年12月24日判決(金判963・8)のような判決もあることから、遺言公正証書だからと言って当然に隠匿の対象から外れるわけではなく、その内容が隠匿した者に有利な内容であったか否かや、ほかの相続人がその存在を知っていたり、遺言執行者を通じて知り得る状況にあったか否かなどの事情を考慮して、隠匿に該当するか否かを判断しているものといえます。

事故物件は相続した方が良い?判断基準とデメリットを解説【相続手続きの相談窓口】

事故物件は相続したほうが良い?税金や判断基準と相続するデメリットを解説

●事故物件でも相続税は発生するが、相続税評価は下がる傾向にある
●相続するかどうかは、需要や土地活用、相続税の負担額が判断基準となる
●事故物件が賃貸物件の場合は、空室リスクや家賃の下落リスクがある

近年は、事故物件がインターネットで取り上げられることも増えたため「事故物件を相続しても大丈夫だろうか」と心配になる方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、事故物件を相続したときの相続税や相続したほうが良いかどうかの判断基準、相続した場合の将来的なデメリットについて解説します。

事故物件にも相続税がかかる?相続性評価について

事故物件にも相続税がかかる?相続性評価について

不動産を相続するときは、相続税がどれくらいかかるのか気になりますよね。
とくに事故物件は、マイナスイメージがあることから、相続税がかかるのであれば相続したくないと考える方もいらっしゃるでしょう。
事故物件でも相続税は発生しますが、相続税評価は下がる傾向にあります。

事故物件とは?

そもそも相続予定の不動産が事故物件に該当するのか気になる方もいらっしゃるでしょう。
明確な定義はありませんが、一般的に事故物件とは過去に買主から心理的に忌避されるような事件や事故が起こった物件のことを指します。
たとえば、敷地内で殺人事件や自殺などが発生した不動産が該当します。

相続税評価とは?

相続税評価とは、相続税を計算するときに基となる相続財産の価値を評価することを指します。
土地の場合は路線価方式や倍率方式で相続税評価額を算出し、建物の場合は固定資産税評価額が用いられます。
路線価とは、国税庁が毎年7月1日に公表している所在地に応じた道路に面する土地の価格です。
路線価は1㎡あたりで表示されているため、土地の形状等に応じた補正率で補正した後に、敷地面積をかけて計算します。
倍率方式とは、路線価が定められていない地域で用いるもので、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率をかけて算出します。
国税庁の見解によると、事故物件などのように利用価値が著しく低下している宅地については、低下分の面積に応じて「評価額×10%」を控除可能です。
ただし、評価額を算出する際に、すでに利用価値の低下分が考慮されている場合は除きます。

相続税はいくらかかる?

相続税は、相続財産の総額が基礎控除額を超える場合に、超えた部分についてかかります。
基礎控除額の計算式は、以下のとおりです。
基礎控除額=3,000万円+600万×法定相続人の数
たとえば、相続人が3人の場合、基礎控除額は「3,000万円+600万円×3=4,800万円」です。
つまり、上記の例でいくと相続財産の総額が4,800万円を超える部分について相続税が発生します。
なお、税率は法定相続分に応ずる取得金額によって10%~55%の範囲で定められています。

事故物件は相続したほうが良い?判断基準について

事故物件は相続したほうが良い?判断基準について

事故物件を相続するべきかどうかについて迷う方もいらっしゃるでしょう。
相続放棄を選択した場合は、そのほかのすべての遺産についても相続権を失うため、慎重な判断が必要です。
事故物件を相続したほうが良いかどうかの判断基準は、以下のとおりです。

判断基準①需要の高低

事故物件を相続した後に賃貸物件として活用するか売却を検討している場合は、需要があるかどうかを判断基準にすると良いでしょう。
事故物件の需要は、物件の立地や周辺環境、過去に発生した事件や事故の内容によって異なります。
物件の立地が良好で、交通アクセスが便利だったり近隣に商業施設や公共施設が充実していたりする場合は、事故物件であっても需要が高くなる可能性があります。
また、過去の事件や事故の内容が比較的に軽微でセンセーショナルでない場合は、需要への影響も低いでしょう。

判断基準②土地活用の可能性

土地が広くてさまざまな用途に活用することができる場合、相続を検討する価値があります。
たとえば、駐車場やトランクルームなどの土地活用をすることで、将来的に安定した収益を得ることができるかもしれません。
事故物件であっても住宅以外に活用するのであれば、利用者の心理的な負担も減るでしょう。
ただし、建物を解体して土地活用する場合はコストや手間がかかるため、事前にリスクや収益性を詳しく検討することが重要です。
交通量の多い道路沿いにある広い土地であれば、コンビニエンスストアやファストフード店などの事業者に貸すことで、高収益が期待できるでしょう。

判断基準③相続税の負担

相続税の負担額を判断基準にする方もいらっしゃいます。
相続税が高くて手元の資金で払えない場合は、相続放棄を検討したほうが良いでしょう。
ただし、前述でも述べたとおり、事故物件のみを相続放棄することはできないため、そのほかの遺産を相続したい場合は注意が必要です。
不動産としての需要が低く、相続税の支払いが苦しい場合は、相続後に売却を検討するのも良いでしょう。

事故物件を相続した場合の将来的なデメリットとは?

事故物件を相続した場合の将来的なデメリットとは?

事故物件を相続した場合は、どのようなデメリットがあるのかも気になるのではないでしょうか。
賃貸物件の場合と空き家の場合に分けて解説します。

賃貸物件の場合

相続した事故物件がアパートなどの賃貸物件の場合、以下のようなデメリットがあります。

  • 空室リスク
  • 家賃の下落リスク

事故物件は、過去に事件や事故が発生したことで、入居者に心理的抵抗感を与えることがあります。
たとえば、過去に自殺や殺人事件が起こった物件は、その場所で暮らすことに対して恐怖心や不安を抱くことが一般的です。
このような心理的抵抗感から、入居希望者が減少し、空室率が高くなる傾向があります。
また、事故物件であることが周囲に知れ渡ることで、物件に対するマイナスイメージが強まる可能性もあるでしょう。
このため、需要が減少し、競争力を維持するために家賃を下げる必要が生じることがあります。

空き家の場合

相続した事故物件が空き家の場合は、以下のようなデメリットがあります。

  • 近隣住民に偏見の目で見られる
  • 防犯上の問題
  • 建物や設備の老朽化
  • 維持・管理費用の負担

前述でも述べたとおり、過去に事故や事件が発生した空き家は、周囲に悪い印象を与えることがあります。
空き家のまま放置した場合は、マイナスイメージが払拭されずに近隣住民から白い目で見られる可能性があるでしょう。
また、人が寄り付かない空き家は、不法侵入や犯罪の温床となることもあり、防犯上の問題が起きやすい点もデメリットです。
長期間空き家状態のまま放置した場合は、建物や設備の老朽化が進み、行政から特定空家に指定される恐れもあります。
特定空家に指定された場合、固定資産税の減免措置が受けられなくなるため、ご注意ください。
特定空家に指定されないためには、定期的なメンテナンスや管理が必要です。
防犯対策や草木の手入れ、建物の劣化対策など、維持・管理費用がかかります。
とくに事故物件の場合、賃貸活用しようにも入居者が見つかりにくいため、長期間の空き家状態が続くことが予想され、維持・管理費用が持続的な負担となります。
これらのデメリットが大きいと感じる場合は、早期の売却を検討することが望ましいです。
「事故物件だから売りに出してもなかなか買い手が見つからない」という場合は、不動産会社に買取依頼する方法もあります。
買取の場合、相場よりも売却価格は少し下がる傾向にありますが、仲介手数料なしで早期に売却できるメリットがあります。

まとめ

事故物件でも相続税はかかりますが、相続税評価は下がる傾向にあります。
不動産の相続税の財産評価は法律上は取得時の時価です。
時価とは実勢価格です。
便宜上路線価方式をとることがほとんどではあります。
相続するかどうかの判断基準は、需要の高低や土地活用の可能性、相続税の負担額です。
相続後のデメリットが大きいと感じる場合は、売却を検討することをおすすめします。
特に事故物件を相続する場合、売却しようとするならば、路線価方式で出す場合に路線価評価×10%の控除程度では実勢価格より高い評価になってしまうことがあります。
そんな場合は、費用は掛かってしまいますが不動産鑑定士に時価を算出してもらう必要があるかもしれません。
不動産鑑定士に時価評価出してもらった方が良いのかどうかという判断につきましては、宅地建物取引業者の査定を参考にしてみるのも良いでしょう。
路線価方式で出した財産額より宅建業者の査定額の方が明らかに低い場合は、不動産鑑定士に依頼することを検討してみましょう。

事故物件を相続する場合の判断に迷ったら「相続手続きの相談窓口」にご相談ください。

茅ヶ崎市・鎌倉市・藤沢市・逗子市・横浜市・川崎市・相模原市で事故物件の取扱いにお悩みでしたら「相続手続きの相談窓口」にご相談ください。
「相続手続きの相談窓口」の不動産コンサルティングでは、事故物件でお悩みの方もお気軽にご相談いただけます。

相続トラブル。忘れがち、連れ子との養子縁組!【相続手続きの相談窓口】

離婚後の子どもは不動産相続できる?連れ子の相続権やトラブル回避方法も解説

●親権の有無に拘わらず子どもには相続権がある
●配偶者の連れ子には相続権がないが養子にすると相続権が発生する
●離婚後の相続トラブルを防ぐ方法として「遺言書の作成」「生前贈与」「売却」がある

3組に1組の夫婦が離婚する現代社会では、親権がない子どもや配偶者の連れ子の相続権に関するトラブルが少なくありません。

実際にあるのです。私のお客様でもありました。
父が先に亡くなり、その後の母の相続手続きの依頼を受けた時です。
相続人は兄と妹の二人とのことで、兄から依頼を受けて手続きを進める予定でしたが、戸籍を収集していくと兄が相続人ではないことが発覚したのです。
何故かというと、父母は再婚どうしでしたが、兄は父の連れ子で妹は母の連れ子だったのです。
妹は母の希望で父と養子縁組していたので、父が亡くなった時は相続人でした。
しかし、兄は母と養子縁組されていなかったのです。つまり母の相続権は無いという状況になってしまったのです。
幸い兄・妹の関係は良好でしたので、妹が兄の希望を叶えるために話し合いがされておりますので、少しホッとしましております。
しかし、相続分の譲渡にしても、相続した後に贈与するにしても、贈与税など大きな出費が掛かってしまいます。
結婚相手に連れ子がいる場合は、特段の事情がなければ養子縁組をすると安心です。

    離婚後も子どもに不動産の相続権はある?

    離婚後も子どもに不動産の相続権はある?

    離婚を考えている方は、将来的なトラブルを防ぐためにも子どもの相続権について確認しておくと安心です。
    ここでは、離婚が子どもの相続権に及ぼす影響はあるのか解説します。

    離婚しても血縁関係のある子どもには相続権がある

    親の離婚とは関係なく、子どもには相続権が認められます。
    元夫と元妻の間に生まれた子どもは、親の離婚後であっても双方の遺産を相続できるのです。
    遺産に不動産がある場合もその他の財産と合算して、相続人の一人として法定相続分を主張できます。
    この場合、親権の有無も関係ないことがポイントです。
    離婚により親権を持たない元夫が、元妻との間の子どもに財産や不動産を相続させることも問題ありません。
    もちろん、親権を持っている元妻も、子どもに財産や不動産を相続させられます。

    代襲相続も可能

    代襲相続とは、本来相続人になる被相続人の子どもが既に亡くなっている場合、その相続分を子どもの子ども(孫)が相続することを指します。
    離婚後の相続であっても、代襲相続は可能です。
    たとえば、両親の離婚後に父方の祖父が亡くなり、すでに父も他界している場合、父が相続するはずだった遺産はその子どもが相続できます。
    両親の離婚後も、子や孫などの直系卑属は相続権を主張できるのです。
    なお、通常の相続手続き用意する戸籍謄本は被相続人だけのもので良いですが、代襲相続の場合は被代襲者の戸籍謄本も必要です。
    加えて、代襲相続人の孫の数を確認しなければなりません。
    たとえば祖父が亡くなって相続が発生、それ以前に父が亡くなっていて、相続人は配偶者の母と孫の場合には以下の戸籍謄本が必要です。

    • 被相続人である祖父の出生から死亡までの戸籍謄本
    • 被代襲者でありすでに亡くなっている父の出生から死亡までの戸籍謄本
    • 父の配偶者で代襲相続人である母の戸籍謄本
    • 代襲相続人である孫の戸籍謄本、孫の人数を確認する目的も兼ねる

    また、預貯金のようなプラスの遺産だけでなく、債務などのマイナスの遺産が多い場合には、代襲相続でも相続放棄を選択できます。
    相続放棄をおこなうのであれば、相続の開始を知った日から3か月以内の手続きが必要です。

     

      離婚後に再婚した場合に連れ子は子どもと同じように不動産を相続できる?

      離婚後に再婚した場合に連れ子は子どもと同じように不動産を相続できる?

      再婚した相手にすでに連れ子がいる場合、相続にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
      配偶者の連れ子の相続権について解説します。

      配偶者の連れ子には相続権がない

      離婚後に再婚し、配偶者に連れ子がいた場合、所有している不動産や財産を相続で残すことはできません。
      子どもの相続権と同じように、連れ子も親権の有無に拘わらず血縁関係にあるかどうかが基準だからです。
      その代わり、連れ子は実親からの相続を受ける権利を持っています。

      連れ子に不動産を相続させる方法とは

      配偶者の連れ子には相続権がありませんが、不動産を含めた財産を相続させる方法が2つあります。
      ひとつは養子縁組をすることです。
      養子にすると連れ子にも相続権が発生し、相続時には実子と同じ相続分が認められます。
      養子縁組をしたとしても実親との関係は続くため、実親からの相続権も消滅しません。
      養子縁組は、養子縁組届出書と届出人の身分証明書を市区町村の役所に提出することで手続きできます。
      連れ子に相続させるもうひとつの方法は、遺言書を作成し寄贈者に連れ子を指定することです。
      寄贈なので正確には相続ではありませんが、連れ子に財産を残したい場合には検討してみても良いでしょう。
      そのためには、公正証書遺言など、正しい手続きを踏んだ効力のある遺言書の作成が重要です。
      このときの注意点として、実子の遺留分を侵害するとトラブルに発展するおそれがあることが挙げられます。
      遺留分とは、法定相続人が主張できる最低限の遺産取得分のことです。
      連れ子に財産のすべてを相続させようとしても、実子から遺留分を主張された場合はその分を残さなくてはなりません。
      トラブルにならないよう、法定相続人の遺留分についてもよく確認したうえで手続きを進める必要があります。

       

        離婚後の子どもへの不動産相続でトラブルを避ける方法

        離婚後の子どもへの不動産相続でトラブルを避ける方法

        離婚後の実子への相続や、配偶者の連れ子への相続は気を付けないとトラブルが発生することがあります。
        ここでは、トラブルを回避する方法を解説します。

        公正証書遺言を利用する

        遺言を残して相続内容を決定する場合、公正証書遺言を作成することをおすすめします。
        遺言書は大きく分けて「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
        どの遺言書にも一長一短ありますが、遺言書が無効になるリスクがないのが公正証書遺言です。
        公正証書遺言は、本人と証人2名が公証役場に行き、本人が口述した内容を公証人が記述して作成します。
        未成年者や相続人になる予定の方は証人になれないため、自分で証人を用意できなければ公証役場で紹介してもらったり、弁護士や司法書士などに依頼したりする方法があります。
        こうして作られた遺言書は検認の必要がなくなるため、相続開始後速やかに遺言の内容を実現できるでしょう。
        公正証書遺言は原本が公正役場に保管されるため、遺言書が破棄されたり、隠匿・改ざんされたりする心配がありません。
        遺留分の侵害や、生前贈与と相続の矛盾などがなければ遺言内容どおりに遺産分割されるため、トラブルの心配が減るでしょう。

        生前贈与や寄贈を利用する

        特定の方に財産を渡す「生前贈与」や「寄贈」を利用する方法もあります。
        たとえば、住宅取得資金贈与や配偶者控除などを利用すると、贈与税を抑えつつ財産を残すことができます。
        寄贈や贈与は贈与税がかかるため、控除を利用して節税することがポイントです。

        相続財産になる不動産を売却する

        不動産は分割しづらく、利用方法や評価額が相続人によって異なるため、トラブルの原因になりやすい相続財産です。
        相続税の算出のために不動産評価額を決めることですら、意見の食い違いが起きることもあります。
        もし、相続税の支払いのために不動産売却するのなら、相続が発生した翌日から10か月以内が相続税の納税期限であることに注意が必要です。
        一般的に不動産売却には半年程度の売却期間を見込むことが多いため、時間をかけて相続人同士の方針をすり合わせていると相続税の納付期限に間に合わないこともあります。
        ただし、早期売却の目的で不動産価格を引き下げて売却するとなると、損してしまうことになるでしょう。
        遺産分割の手間を省き可能な限り高額で売却するためには、不動産を生前に売却し現金化して相続に備えることも検討したい方法のひとつです。

         

        【まとめ】

        離婚後の子どもは血縁関係にある以上、親権の有無に拘わらず親の財産の相続権を持ちます。
        配偶者の連れ子については相続権がありませんが、養子縁組をすると相続が可能です。
        その際にはトラブルにならないように、公正証書遺言の用意や生前贈与の活用、不動産の売却なども検討しておくことをおすすめします。

        茅ヶ崎市、寒川町、鎌倉市、藤沢市、逗子市・横浜市・川崎市・相模原市の相続対策・相続手続きは「相続手続きの相談窓口」にご相談ください。

        不動産相続・よくあるトラブル【相続手続きの相談窓口】

        不動産相続でよくあるトラブルとは?事例とともに解決策をチェック

        ●たとえ親族同士であっても不動産相続時にトラブルになることがある
        ●相続した不動産を平等にわけようとして揉めるケースもある
        ●被相続人が名義変更(相続登記)をおこなっていないがゆえのトラブルもある

        不動産相続におけるトラブルは、他人事ではなく誰にでも起こりうることです。
        揉め事が起こると解決までに時間がかかったり、相続人同士の関係性が悪くなったりします。

        不動産相続において相続人同士でトラブルになるケース

        不動産相続において相続人同士でトラブルになるケース

        まず、不動産相続において相続人同士でトラブルになるのはどのようなケースなのでしょうか。

        誰が不動産を相続するかで揉めてしまう

        相続人同士のトラブルとして、誰が不動産を相続するかで揉めることがあります。
        遺産のなかでも、不動産が高い価値を持っている場合、トラブルになることが多いです。
        相続人のなかの1人が親と長いあいだ同居していた場合、相続を強く望むケースも少なくありません。
        長年同居してきたことは、不動産という財産の維持や形成に寄与したと、主張することができるでしょう。
        貢献度の認識の違いによるトラブルを回避するためには、遺言書の作成がおすすめです。
        同居している相続人が不動産を相続することなどを、事前に決めておけば、相続人同士のトラブルを回避できます。

        不動産を相続すると不公平になる場合

        遺産が不動産しかない、または不動産以外にめぼしいものがない場合、相続人間でトラブルになることがあります。
        相続人である子どもの1人が親と同居していた場合、実家を相続し、そのまま住み続けるのが一般的です。
        しかし、価値のある遺産が不動産しかなかった場合、ほかの相続人から不満の声が上がるかもしれません。
        そのような場合は、不動産を相続した方がほかの相続人に、代償金を支払うことで解決できる可能性があるでしょう。

        相続人が多くトラブルになるケース

        不動産の相続は、相続人が多いほどトラブルになりやすいです。
        被相続人が離婚や再婚をしていたり、離婚した配偶者とのあいだに子どもがいたりする場合、遺産分割が複雑になります。
        知らないあいだに認知していた子どもが名乗り出た場合、スムーズに手続きできない可能性もあるでしょう。
        被相続人が離婚や再婚をしている場合は、事実を確認しておくことが大切です。
        また、被相続人が元気なうちに遺言書を作成しておくと、不動産相続時のトラブルを回避できます。

         

        相続した不動産を平等にわけようとしてトラブルになるケース

        相続した不動産を平等にわけようとしてトラブルになるケース

        相続した不動産を平等にわけようとしてトラブルになるケースもあります。
        不動産相続では、誰かが損をしないよう、ひとつの土地や建物を兄弟や姉妹でわけるケースも珍しくありません。
        しかし、平等に分割しようとすると、かえってトラブルになることがあります。
        不動産を平等にわけるための方法は、次の3つです。

        平等にわける方法1:共有分割

        共有分割とは、ひとつの不動産を複数の相続人で共有することです。
        相続人が3人いる場合、それぞれの持ち分は3分の1となります。
        平等にわけられるためトラブルもないように思えますが、共有分割には下記のようなデメリットがあります。

        • 売却したいときは共有者全員の許可が必要
        • 将来2次・3次相続が発生し相続人が増える可能性がある
        • 固定資産税の通知書は代表者に送付されるため、納期ごとにほかの共有者から徴収しなければならない

        このように、共有分割にはトラブルにつながりかねないデメリットが複数あります。
        「平等にできるからとりあえず共有にしておこう」と思う方もいらっしゃると思いますが、ひとつの不動産を共有状態にするのは、あまり望ましくありません。
        将来的なトラブルのリスクを考えたうえで、判断する必要があるでしょう。

        平等にわける方法2:現物分割

        現物分割とは、ひとつの土地を相続人の数に応じて分筆し、それぞれが所有権を持つことです。
        相続人が4人の場合、4つにわけてひとつずつ取得します。
        この方法も一見すると、平等に分割できるように見えます。
        しかし、ひとつの土地を分筆した場合、形状や方位、間口の広さなどが異なるのが一般的です。
        そのため、同じ面積でわけたとしても、評価額や使い勝手に差が出ることになります。
        分筆によって資産価値が異なる土地が生まれると、誰がどの土地を取得するかでトラブルになる可能性もあるでしょう。

        平等にわける方法3:換価分割

        換価分割とは、不動産を売却して現金化したあと、平等にわける方法です。
        現金を公平にわけられるため、不動産の遺産分割では、もっともトラブルを回避しやすい方法となります。
        たとえば、不動産の売却金が3,000万円で売却にかかった経費が400万円、相続人が2人のケースで考えてみましょう。
        手元に残るお金は2,600万円のため、それぞれが取得するのは1,300万円です。
        不動産相続におけるトラブルを回避するためには、共有分割や現物分割よりも、リスクの低い換価分割がおすすめです。

         

        相続した不動産の名義変更ができていなかったためトラブルになるケース

        相続した不動産の名義変更ができていなかったためトラブルになるケース

        最後に、相続した不動産の名義変更によるトラブルについて解説します。

        被相続人が名義変更をしていなかった

        不動産の相続手続きをはじめた際、名義変更がされておらず、前の世代の名義だったケースがあります。
        被相続人がその不動産を取得したとき、名義変更をおこなわなかったがゆえのトラブルです。
        土地や建物を相続すると、相続人は法務局にて名義変更(相続登記)をおこなう必要があります。
        しかし、これまで相続登記は任意の手続きで、期限やペナルティーもありませんでした。
        そのため、相続した不動産の名義変更がおこなわれないまま、新たな相続が発生しトラブルになるケースが増えています。
        そのような不動産の相続時は、当時の被相続人が作成した遺産分割協議書を探したり、登記関係の書類を準備したりしなければなりません。
        当時の遺産分割協議書がない場合、新しく作成する必要があるうえに、すべての相続人から署名と捺印をもらう必要があります。
        手間と労力がかかる作業となり、トラブルに発展するリスクも高くなるでしょう。
        トラブルを回避するためには、登記情報を調べたり法務局で名義を確認したり、相続に向けてチェックしておくことが大切です。

        相続登記は令和6年4月より義務化される

        名義変更がおこなわれないままの不動産は、相続時にさまざまなデメリットが生じます。
        相続登記されずに放置された不動産は、将来新たな相続が発生した場合、多大な労力を要することになります。
        そのため、令和6年4月より相続登記が義務化されることになりました。
        名義変更の手続きが義務化されれば、不動産相続後のトラブルも減少するでしょう。
        また、相続した不動産が空き家になり放置されるケースも年々増えています。
        所有者が明確になることで、空き家の放置によるトラブル(老朽化や景観の悪化など)を防止できるのではと期待されています。

         

        まとめ

        不動産相続でよくあるトラブルをケースごとに解説しました。
        土地や建物といった不動産は、分割しにくいがゆえにトラブルが起こるケースも多いです。
        トラブルを回避するためにも、あらかじめ相続前に対策をおこなっておくことをおすすめします。


        茅ヶ崎市・寒川町・鎌倉市・藤沢市・逗子市・横浜市・川崎市・相模原市の不動産の相続手続きや生前対策に関するご相談は相続手続きの相談窓口にご連絡ください。

        空き家の固定資産税は高くなる?【相続手続きの相談窓口】

        空き家の固定資産税は高くなる?計算方法や節税についても解説

        ●自治体から「特定空家」に指定された場合、空き家の固定資産税が上がるおそれがある
        ●固定資産税は基本的に課税標準額に1.4%をかけて計算される
        ●固定資産税を節税するためには、信頼できる方に貸し出すほかに、売却するなどの方法がある

        利用していない空き家を管理せず放置していると、自治体から「特定空家」に指定されることがあります。
        特定空家に指定されると、結果的に固定資産税が大幅に上がるおそれがあるため、注意が必要です。

        空き家が「特定空家」に指定されると固定資産税が上がる?

        空き家が「特定空家」に指定されると固定資産税が上がる?

        現在、日本では高齢化社会が深刻化するにつれて空き家も増え続け、社会問題になっています。
        ここでは、空き家の固定資産税と「特定空家」について解説します。

        空き家でも固定資産税がかかる

        たとえその家に住んでおらず、活用していないとしても、空き家の所有者には固定資産税を支払う義務があります。
        固定資産税は、毎年1月1日時点で不動産を所有している方に課されるのが原則です。
        ただし、不動産売却をした場合は、引き渡し日時点で固定資産税を日割りした金額を、買主から売主に精算するのが一般的です。
        どのタイミングで売却しても、所有していた期間分だけ固定資産税を負担することになるケースが多いため、売却のタイミングを気にする必要はないでしょう。
        なお、空き家だからといって固定資産税が安くなったり高くなったりすることはありません。
        しかし、自治体から「特定空家」に指定された場合は、固定資産税がそれまでと比べて大幅に上がるおそれがあります。

        特定空家とは

        周囲の景観をとくに悪くしている空き家や倒壊の危険性が高い空き家などへの対策などとして、平成26年に「空家等対策特別措置法」が成立しました。
        この法律をもとにした自治体の認定により、放置された空き家が「特定空家」として指定されることになりました。
        市民からの相談や実態調査によって空き家が「周辺の住環境や景観を著しく損ねる」と判断された場合に、自治体から「特定空家」に指定されます。
        具体的には、倒壊の危険性がある空き家や、著しく衛生上有害な可能性がある空き家、景観を損なっている空き家、周辺の生活環境の保全のため放置することが不適切な空き家などが、これに該当します。
        つまり、すでに放置されており、周囲に迷惑をかけるような空き家が「特定空家」に指定されるのです。
        特定空家に指定されたあとは、自治体から助言や指導がおこなわれ、それでも従わなかった場合は、より強制力のある勧告や命令が実施されます。
        これにより、受けられていた控除の対象外になり、強制的に空き家を解体するなどの代執行がおこなわれ、かかった費用は所有者に請求されることになります。

         

        空き家の固定資産税の計算方法

        空き家の固定資産税の計算方法

        ここでは、通常の空き家の固定資産税の計算方法と併せて、特定空家に指定されたあとの固定資産税についても解説します。

        通常の空き家の固定資産税の計算方法

        空き家の固定資産税の計算方法は、一般的な住宅の計算方法と変わりません。
        土地と建物に分けて、以下のようにそれぞれ課税されます。

        • 土地の固定資産税=課税標準額×1.4%(軽減措置あり)
        • 建物の固定資産税=課税標準額×1.4%

        固定資産税評価額とは、固定資産税の基準となる土地や建物の評価額で、自治体が調べて定めるものです。
        住宅が建っている土地は、「住宅用地特例」により課税標準が以下のように軽減されています。

        • 面積200㎡以下の部分:固定資産税課税標準額=固定資産税評価額×1/6
        • 面積200㎡超の部分:固定資産税課税標準額=固定資産税評価額×1/3

        しかし、特定空家の建っている土地は、住宅用地特例の対象外となる点に注意が必要です。
        実際の計算は、突然固定資産税が跳ね上がらないようにするための負担調整措置などがおこなわれます。
        そのほか、自治体によって独自の軽減措置などがおこなわれていることもあります。

        特定空家の固定資産税の計算方法

        特定空家の場合、住宅用地特例を受けることができません。
        これまで受けられていた軽減措置が受けられなくなることで、結果的に固定資産税の負担が増えることにつながります。
        ただし、特定空家に指定されたらすぐに固定資産税が跳ね上がるわけではありません。
        指定後におこなわれる助言や指導に従い、空き家に対して適切な対処をおこなって改善すれば、控除の対象のままでいられます。
        ただし、助言や指導に従わず、さらに勧告を受けても改善しない場合は、翌年から固定資産税の負担が増えるでしょう。

         

        空き家の固定資産税を節税する方法

        空き家の固定資産税を節税する方法

        空き家を放置し続けると、固定資産税の負担が重くなるおそれがあるため、適切な対策が必要です。
        ここでは、固定資産税の節税方法について解説します。

        信頼できる方に住んでもらう

        空き家が問題になるのは、活用することも管理することもできず、放置してしまうからです。
        親族など信頼できる方に貸して居住してもらえれば、日常的な管理が自然とおこなわれるため、建物が傷むスピードも遅くなるでしょう。
        もし固定資産税をまかなえる程度の家賃を受け取ることができれば、所有者の金銭的な負担はほとんどなくなります。
        今後空き家を相続する予定がある場合は、事前に空き家の管理や住人、固定資産税の負担などについても話し合っておくと良いでしょう。

        特定空家の指定を解除してもらう

        所有する空き家が特定空家に指定された場合は、すぐに解除してもらえるよう、現状を改善することが大切です。
        勧告から時間が経つまでに改善できれば、固定資産税の負担が増えることはありません。
        たとえば、窓ガラスが割れたままになっているなど景観を悪化させている場合は、必要に応じて修繕をおこないます。
        倒壊の危険がある場合は、耐久性を上げるための工事をおこないましょう。
        このような改善が認められれば、特定空家の指定が解除されます。
        改善に多額の費用がかかる場合やあまりにも老朽化が進んでいる場合などは、建物を解体したほうが良いことも少なくありません。
        ただし、建物がなくなった土地は固定資産税の軽減措置が受けられなくなるため、固定資産税の節税にはなりません。

        売却する

        売却して空き家を手放すことで、固定資産税の負担から解放されます。
        管理に困る空き家は相続でもめることも多いため、後のトラブルを防ぐことにもなるでしょう。
        相続して3年以内の空き家を売却する場合は、「相続空き家の3,000万円特別控除」が利用できることもあります。
        売却した利益から3,000万円まで控除できるため、売却後に課される譲渡所得税に対して大きな節税効果があります。
        ただし、相続空き家の3,000万円特別控除を利用するためには、昭和56年5月31に以前に建築された建物であることや、マンションでないことなどの要件を満たす必要があります。
        利用できるかどうかを売却前に確認しておきましょう。

         

        まとめ

        特定空家についてや固定資産税の計算方法、節税方法についてご説明しました。
        空き家を活用していなくても、所有しているだけで固定資産税がかかるため、早めに対処することが重要です


        茅ヶ崎市・寒川町・鎌倉市・藤沢市・逗子市・横浜市・川崎市・相模原市で空き家のお困りごとは相続手続きの相談窓口」にご相談ください。

        相続物件における不動産売却の注意点!【相続手続きの相談窓口】

        相続物件における不動産売却の注意点!名義・売却期限・媒介契約について解説

        この記事のハイライト
        ●相続不動産を登記して名義変更しなければ不動産売却そのものができない
        ●相続で取得した不動産を売却するときは節税のための特例や控除がある期限に注意する
        ●売却時には3種類の媒介契約の特徴を把握してから不動産会社に売却を依頼する

        相続した不動産を売却するときには、ご自身で購入した不動産を売却するときとは異なる注意点があります。
        ここでは相続物件を不動産売却するときの、名義、売却期限、媒介契約のそれぞれの注意点について解説します。

        相続による不動産売却では「名義」が注意点

        相続による不動産売却では「名義」が注意点

        相続不動産を売却するときの注意点には「名義」があり、とくに名義変更と共有名義について注意が必要です。
        具体的にどのようなことに気を付ける必要があるのでしょうか。

        名義変更の注意点

        相続が発生し遺産の分割方法が決定して不動産を相続することになったとき、最初に必要なことは相続登記して名義変更することです。
        相続に限らず、売買や贈与などで不動産を取得した場合、所有者が変更になったことを登記しなければ、正式に所有者が変わったといえないからです。
        もし、親族や他の相続人が「この不動産は私のものです」と主張した場合、登記しなければ「私のものです」と権利を主張できないためです。
        登記さえしていれば、他の方が権利主張をしたとしても、自分の所有権を主張してそれに対抗することが可能です。
        また、相続不動産を登記して名義変更しなければ、不動産売却そのものができないでしょう。
        登記していなければその不動産の所有者は故人のままとなり、故人は不動産売買契約を締結できません。
        そのため、相続した不動産を売却する場合には、登記して名義変更したうえで不動産売却を進めましょう。

        共有名義の注意点

        不動産を相続する場合、一人の相続人が物件のすべてを相続することもあれば、複数の相続人でひとつの物件を所有することもあるでしょう。
        その状態を共有名義といいます。
        たとえば、3人の相続人で実家の土地と建物を均等に相続した場合、ひとりあたりの所有権は3分の1ずつです。
        不動産売却して諸経費などを支払い、1,500万円残った場合には500万円ずつ取得できます。
        このとき、相続人のひとりが売却に反対した場合、不動産売却そのものが成立しません。
        持分割合の大小を問わず、持ち分を相続している相続人が売却に反対すれば不動産売却できないのです。
        相続物件を不動産売却するための注意点として、共有名義人全員の売却への承諾や、契約内容の合意が必要なことを確認しておきましょう。

         

        相続による不動産売却の注意点である売却期限

        相続による不動産売却の注意点である売却期限

        相続不動産を売却する際には、売却完了するまでの期限も注意点として意識しなければなりません。
        どのような期限が売却に影響するのかご説明します。

        相続税を支払うための不動産売却は10か月以内

        相続税の支払期限は相続を知った日、その翌日から10か月以内と定められています。
        相続人が不動産を相続できる間柄なら、故人が亡くなった日の翌日から10か月以内と考えることが一般的です。
        そして、不動産売却して相続税を納税するなら、10か月の期限から売却期間を逆算し、遺産分割協議や相続手続きの期限を設定しましょう。
        一般的に売却を決定してから査定を含む不動産会社とのやり取り、売却活動、契約から引き渡しまでは6か月程度かかります。
        余裕を持って不動産売却するには、遺産分割協議や相続手続きは4か月以内に済ませる必要があることが注意点です。

        相続税の取得費加算の特例を適用するには相続税納税から3年以内

        相続税の取得費加算の特例とは、相続税を不動産売却の諸経費として算入しても良いという特例で、相続税を納税してから3年以内に不動産売却する必要があります。
        不動産売却にかかった諸費用などを差し引いたお金は譲渡所得と呼ばれ、所得のひとつとして扱われるために所得税が課税されます。
        そのときの計算方法は、売却価格から不動産を取得したときの費用と諸経費を差し引き、税率をかけたものが譲渡所得税です。
        取得したときの費用は故人が不動産を取得した当時の価格のことで、もし、それが分からない場合は売却価格の5%を取得費として計算可能です。
        相続税の取得費加算の特例を利用すれば、納めた相続税を諸経費に算入し、譲渡所得を引き下げられるので節税に繋がります。
        このとき、納めた相続税すべてを算入するのではなく、相続した不動産部分の相続税のみ、相続税取得費加算の特例対象となるため注意しましょう。

        3,000万円の特別控除を利用する

        故人が住んでいた自宅を相続して売却したり、相続した空き家を売却する場合、一定の条件を満たせば譲渡所得から3,000万円を控除できます。
        譲渡所得の計算で3,000万円を上回らなければ所得税が課税されないので、とても大きな控除だといえるでしょう。
        故人が住んでいた自宅を相続人が売却する場合には、その相続人が同居していた実績があるなどの条件を満たさなければなりません。
        相続をきっかけに相続人が転居した場合には、転居してから3年後の12月31日までの期限があり、それまでに売却を完了する必要があります。
        空き家を相続した場合には、故人が居住していたことや、売却まで空き家のまま利用されていなかったなどの条件を満たす必要があり、この他にも細かい条件があります。
        これらの特別控除を利用するときには細かく条件を確認し、適用されるかどうか判断しましょう。

         

        相続による不動産売却では媒介契約の内容も注意点

        相続による不動産売却では媒介契約の内容も注意点

        相続不動産を売却するときには期限があるために、不動産会社への販売依頼契約である媒介契約についてもよく把握する必要があります。
        3種類ある媒介契約について解説します。

        一般媒介契約

        一般媒介契約にて売主は複数の不動産会社と媒介契約を締結して販売を任せられ、幅広く買い手を探せることが特徴です。
        契約期限は定められていないものの、行政指導にしたがって3か月を期限にしていることが一般的ですが、契約の解約自体はいつでもできます。
        また、売主が自分自身で買主を見つけて直接契約することも可能です。
        不動産会社としては媒介契約を締結したからといって販売方法に制限などないので、自由に販売活動できます。
        注意点は、不動産会社が販売活動に力を入れたとしても他社が買主を見つける可能性もあるので、積極的に販売活動を進めない可能性がある点です。

        専任媒介契約

        専任媒介契約にて売主は一社の不動産会社としか契約を締結できませんが、自分自身で買主を見つけて直接契約することも可能です。
        不動産会社は専任媒介契約を締結したら、7日以内にレインズへの情報登録と、販売活動報告を2週間に1回以上する必要があり、契約期限は3か月以内と定められています。
        レインズとは国土交通大臣が指定する不動産流通機構が運営するネットワークシステムで、売却物件や賃貸物件の情報が登録されています。
        レインズに掲載されている情報は不動産会社ならば閲覧できるので、より広い範囲にて買主を募れます。

        専属専任媒介契約

        専属専任媒介契約も専任媒介契約と同様に一社とだけ媒介契約を締結するもので、売主が買主を見つけてきても直接契約できません。
        その代わりレインズへの登録は5日以内、販売活動報告は1週間に1回以上とより厳しいものになっています。
        一社に任された不動産会社の責任も大きいために、積極的な販売活動を期待できます。

         

        相続した不動産を売却する際の注意点として、名義変更すること、共有名義なら名義人の承諾を得ること、売却期限に注意することが挙げられます。
        期限があるので、売却方法も注意が必要で、媒介契約についてもよく吟味して売却を進めましょう。

        茅ヶ崎市・寒川町・鎌倉市・藤沢市・逗子市・横浜市・川崎市・相模原市で相続した不動産の売却をお考えの方は「相続手続きの相談窓口」へご相談ください。

        相続した不動産を売る場合でも測量することになります【相続手続きの相談窓口】

        相続した不動産を売却する際には、敷地の測量が必要になる場合がほとんどです。

        測量技術が昔より進んできているため、たとえ地積測量図があっても古いものだと新たに測量することを求められます。

        また、敷地を測量したものを図面にするのですが、その図面も一種類ではありません。

         確定測量図

        土地の境界を完全に確定させた測量図になります。 土地には「境界」というものがあり、境界によって隣地や道路との線引きが明確になっています。 その境界には石や金属でつくられた境界杭(境界杭)が埋まっており、その杭によって土地の境界が明確にされているというわけです。

        つまり、確定測量は土地の所有者と測量士だけでなく、隣人にも立ち会ってもらい、行政の図面をもとに土地の境界を全て確定させる測量による図面になります。

        隣人に境界確定の了承を得る必要があり、筆界(境界)確認書も作成されます。

        土地を売却(古家があっても購入者が土地で利用する場合も含む)する時は厳密に境界を定めなければいけないので、境界確定測量の実施を求められることが多いです。
        買主が宅建業者で土地・新築分譲の再販売のための仕入れ購入であれば、100%求められます。

        現況測量図

        境界確定測量が隣人や行政の承認が必要であるのに対して、現況測量は、現在の土地の状況を測量士の目視により境界を計る測量方法です。

        ブロック塀や境界杭の位置などから「ここが境界だろう」と思われるポイントを測量図に反映していきます。

        この土地にどれくらいの大きさの建物を立てられるか、越境が無いか、などざっくり現況を知りたい場合は一旦測量士に現況測量をしてもらいます。

        「仮測量」あるいは「仮測量図」とも言われます。

        高低測量図

        高低測量は敷地内の様々の地点の高さを、接面道路のある1点の高さを0として敷地の対象地点がどれくらい高くなっているのか、あるいは、低くなっているのかを記した図面です。

        建物建築の際や土地の造成を必要とする場合は必要になる場合があります。

        ただし、普通の不動産の売買取引では高低測量までは求められません。

        逆に購入する買主側で行う場合がほとんどです。

        地積測量図

        地積測量図は隣接する道路や隣接地との境界の位置、土地の正確な面積、地積の求め方まではっきりと描かれています。さらに線の太さまでが定められている「法務省管轄の公的な図面」として保管されているのも大きな特徴です。

        真北測量図

        地積測量図では、多くの場合、真北の向きが厳密には不明です。真北を計測し図面化したものが真北測量図です。

        真北は、商業地域以外の敷地では高度地区、日影規制の検討と確認申請上の手続きで必要になってきます。

        計画敷地が、商業地に存在していても、北側のエリアに日影規制がある用途地域を背負う場合においては、その他の地域と同様に、日影規制、高度地区の検討に真北測量は、必要となります。

        基本的には建築する側、つまり買主側が必要であれば行います。

        土地売りの場合は、確定測量図作成時に真北測量を入れてあげると親切です。

        不動産の売却では、確定測量が求められることがほとんどです。

        不動産の売買の際には「物件状況等報告書」というものを売主の告知書として買主に交付します。
        そこには、境界標が有るか無いか、越境は有るか無いか、隣地と境界について紛争は有るか無いかという内容を告知するようなっております。
        そこに、紛争が無いと告知したのに、後々購入者が隣地に境界について売主から聞いた話しと違う話をされたら、告知書の内容と違うということで契約不適合責任を追及されかねません。
        ですから筆界確認書に署名・捺印をいただく確定測量があれば安心ですよね。

        当然ですよね。

        隣地と境界で揉めている不動産を購入したいという買主はいないと思っていただいて間違いはありませんから。

        日ごろから近隣とは良い付き合いをしていただくと売却もスムーズです。
        特に相続で取得した不動産の売却時は、お父さん・お母さんが存命の時は隣地との付き合いが良好であっても、相続人と隣地の方との関係が良好とは限りません。
        筆界の確認を隣地に求めることは多くの場合に土地家屋調査士が行ってくれますが、できる限り売主である相続人も立ち会って挨拶も兼ねて土地家屋調査士と一緒に筆界を確認してもらいましょう。

        それでも、境界に対して主張が違う隣地がある場合は、法務局の筆界特定制度を利用できます。

        それでも合意できない場合は境界確定訴訟によって筆界を特定するしかなくなります。

        鎌倉市・茅ヶ崎市・寒川町・藤沢市・逗子市・横浜市・川崎市・相模原市で相続不動産した不動産の相談は「相続手続きの相談窓口」まで、お気軽にご相談ください。

        空き家を売りたい方必見!更地で売る?現状で売る?メリット比較【相続手続きの相談窓口】

        空き家を売りたい方必見!更地で売る場合と現状で売る場合のメリットを比較

        空き家を売却する際、現状で売るか更地にして売るかで悩む方は少なくありません。
        一般的に現状よりも更地のほうが売却しやすいといわれていますが、建物の解体費用がかかるため躊躇してしまう方もいらっしゃるでしょう。
        どの方法が適しているのか判断するためには、それぞれのメリットとデメリットをしっかり理解しておく必要があります。
        この記事では、空き家を現状で売る場合と更地で売る場合のメリット・デメリット、空き家の売却に必要な費用を解説します。

        空き家を現状で売りたい!現状で売るメリット・デメリット

        空き家を現状で売りたい!現状で売るメリット・デメリット

        更地での売却は建物の解体にコストがかかるため、現状で売りたいという方もいらっしゃるでしょう。
        空き家の状態が良好で、そのまま住めるようであれば中古住宅として売り出せますが、そのままでは住めないほど老朽化が進んでいる場合には、建物をメインに売り出してもなかなか買い手がつきません。
        このような場合に「古家付き土地」として、建物の価値は含めずに土地だけの価格で売り出す方法があります。
        どちらで売り出すかは売主の意向次第ですが、木造住宅の場合は築20年を経過していれば古家付き土地として売却することが多いです。

        空き家を現状で売る際のメリット

        更地にして土地を売る場合、建物の解体費用がかかります。
        解体費用はさまざまな要因によって変動しますが、100万円以上はかかると考えておきましょう。
        空き家を現状で売る場合、このような解体費用がかからないため、金銭的な負担を軽くできます。
        また、建物が建っている土地には「住宅用地の軽減措置特例」が適用されているので、固定資産税の負担が少ないこともメリットです。
        固定資産税が増える心配もなく、落ち着いた状態で売却活動を進められるでしょう。
        さらに現状で売り出せば、中古住宅を安く購入してリフォームしたいという方からも検討対象に入れてもらえる可能性があります。

        空き家を現状で売る際のデメリット

        空き家を現代のまま売る場合、建物の修繕やリフォームにかかる費用を買主が負担しなければなりません。
        また新築を建てる予定であれば、買主自身で建物の解体費用を支払う必要があります。
        このように、空き家を現状で売り出す場合は、買主に費用の負担がかかるため、売却価格が低くなりやすい点がデメリットです。
        また、空き家は定期的な管理が必要になることも忘れてはなりません。
        人が住んでいない家は急速に劣化が進むため、定期的に現地を訪れ修繕や掃除をする必要があります。
        管理を怠ると、建物が一部破損したり、放火や不法投棄のターゲットにされたりする可能性があり危険です。
        ご自身で管理するのが難しいようであれば、不動産会社に管理を依頼するか、更地にしてからの売却を検討しましょう。

        空き家を解体してから売りたい!更地で売るメリット・デメリット

        空き家を解体してから売りたい!更地で売るメリット・デメリット

        一般的には、空き家を現状で売るよりも更地にしてから売るほうが買い手を見つけやすいといわれています。
        とはいえ、1度建物を解体すると元には戻せないため、更地にするかどうかは慎重に検討しなければなりません。
        後悔しないためにも、空き家を解体して更地で売却するメリットとデメリットを確認しておきましょう。

        空き家を解体して更地で売る際のメリット

        更地で売り出す場合、買主が建物を解体したりリフォームしたりする必要がありません。
        そのため、現状で売却するよりも買い手が付きやすいというメリットがあります。
        また、建物がないと土地全体が広々として見えるため、買主からの印象も良くなります。
        さらに、空き家を解体すると、建物の管理が不要になる点もメリットの1つです。
        空き家の管理不足が原因で第三者に危害を与えてしまった場合、損害賠償を請求される可能性もあります。
        更地にすれば、こうしたリスクを回避できるため、安心して売却活動がおこなえるでしょう。

        空き家を解体して更地で売る際のデメリット

        更地で売り出す場合、建物の解体費用がかかります。
        解体費用は建物の構造や面積、立地などによって異なりますが、30坪の木造住宅で100万円ほどが相場です。
        また、更地にすると固定資産税の負担が重くなる点にも注意しなければなりません。
        建物が建っている土地には「住宅用地の軽減措置特例」が適用されており、200㎡までの部分は固定資産税が6分の1、200㎡を超える部分においては固定資産税が3分の1に減額されています。
        更地にすると建物がなくなるため、この特例が適用できません。

        そのため、これまでよりも固定資産税が高くなってしまうというデメリットがあります。
        売却期間が長引けば長引くほど、固定資産税の負担が重くなってしまうでしょう。

        空き家を売りたい!不動産売却に必要な費用

        空き家を売りたい!不動産売却に必要な費用

        空き家を売却する際に必要な費用は、状況によって異なります。
        早めに資金計画を立てるためにも、空き家を売るときにどのような費用がかかるのかを確認しておきましょう。

        相続登記費用

        相続登記とは、不動産の名義を変更する手続きのことです。
        たとえば空き家が相続により取得したもので、空き家の名義が亡くなった方のままであれば、相続登記が必要になります。
        なぜなら、不動産を売却できるのは、基本的に物件の名義人だけと決まっているからです。
        そのため、相続した空き家の名義変更が済んでいない場合には、売却前に相続登記をおこなわなければなりません。
        なお、相続登記は自分でもおこなえますが、時間と手間がかかるため、司法書士へ依頼することが一般的です。
        司法書士へ依頼したときにかかる費用については、以下を参考になさってください。

        • 書類取得費:5,000円〜2万円
        • 登録免許税:固定資産税評価額の0.4%
        • 司法書士への依頼料:5〜8万円

        譲渡所得税

        譲渡所得税は、空き家を売却して譲渡所得(利益)が出た場合に発生する税金です。
        以下の計算式で算出した金額に税率をかければ、譲渡所得税の額がわかります。
        譲渡所得=収入金額ー取得費ー譲渡費用
        取得費とは不動産を購入する際にかかった費用で、譲渡費用は不動産を売却する際にかかった費用のことです。
        税率は、空き家を所有してから5年以上経過しているかどうかで変動します。
        空き家を所有してから5年を超えている場合の税率は20.315%、5年以内の場合の税率は39.63%となります。

        解体費用

        空き家を解体して更地の状態で売りたい場合、建物の解体費用がかかります。
        解体費用はさまざまな要因によって変動するため一概にはいえませんが、木造住宅で1坪あたり3万円、鉄骨造で1坪あたり4~5万円、RC住宅では1坪あたり5~6万円が相場です。
        建物のほかにも塀や庭の木などの撤去がある場合には、さらに費用がかかります。
        解体費用は高額になりやすいため、まずは業者に見積もりを依頼してから、解体するか判断すると良いでしょう。

        まとめ

        空き家を現状で売る場合と更地にしてから売る場合のメリットとデメリットをご紹介しました。
        どちらの方法を選択するかは、空き家の状態に合わせて判断することが大切です。
        ご自身で判断するのが難しい場合には、信頼できる不動産会社や専門家へ相談すると良いでしょう。

        茅ヶ崎市・鎌倉市・藤沢市・逗子市・寒川町・横浜市・川崎市・相模原市の空き家についての相談は相続手続きの相談窓口まで。

        成年後見人による不動産売却の方法とは?【相続手続きの相談窓口】

        成年後見人による不動産売却の方法とは?申立ての手続きや必要書類を解説

        親が認知症などにより判断能力が不十分になった場合でも、成年後見人を選任すれば不動産売却が可能です。
        しかし、いざご自身が選任されても、売却の手続きをどのように進めるべきか悩むことと思います。
        今回は成年後見制度とはなにか、申立ての手続きや必要書類、成年後見人による不動産の売却方法について解説します。

          成年後見人とは?不動産売却で知っておきたい成年後見制度

          成年後見人とは?不動産売却で知っておきたい成年後見制度

          まずは、成年後見人とはどのようなものなのか、不動産売却で知っておきたい成年後見制度についてご紹介します。
          成年後見制度とは、認知症などによって判断能力が低下した方をサポートする制度です。
          成年後見人は家庭裁判所の監督のもと、本人に代わってさまざまな支援をおこないます。
          支援とは、不動産や預貯金を守る「財産管理」と、施設への入所手続きなどを支援する「身上監護」です。
          横浜市や川崎市、湘南エリアにおいても、社会で生活する以上、買い物をしたり金銭の貸し借りをおこなったりなどさまざまな場面で法律行為が生じます。
          しかし、判断能力が十分でないと、騙されて高額な商品を購入させられたり詐欺にあったりする可能性があるでしょう。
          成年後見人とは、不動産売却時の契約の代行など、本人を保護するための活動をおこなう方を指します。

          任意後見制度法定後見制度の2つがある

          不動産売却で知っておきたい成年後見制度には、下記の2つがあります。

          • 本人が後見人を選任する「任意後見制度」
          • 家庭裁判所が後見人を選任する「法定後見制度」

          任意後見制度とは、誰を後見人にするか、あらかじめ本人に決めてもらう制度です。
          認知症などを患った際に備え、財産管理や身上監護など、いざというときにどのような支援をおこなうのかを決めます。
          委任者と受任者のあいだで、自由に内容を決められるのが大きな特徴です。
          ただし、任意後見契約は公正証書(公証人が作成する高い証明力のある書類)で締結しなければなりません。
          任意後見制度では、親族や弁護士などの専門家が選任されるのが一般的です。


          法定後見制度とは、認知症を患ったあとなど、判断能力が低下してから成年後見人を選任する制度です。
          申立てを受けた家庭裁判所が、成年後見人に適した方を選任します。
          判断能力が低下すると、不動産売却や貯金を引き出すことなどが難しくなりますよね。
          そのため、家庭裁判所が選任した後見人が、本人の代わりに財産や権利を守るための支援をおこないます。

          法定後見制度は3段階に分けられる

          法定後見制度は、自立レベルに応じて下記の3段階にわけられます。

          • 成年後見人:日常生活に支障をきたすような場合
          • 保佐人:症状は軽いが、財産の管理や不動産売却について不安がある場合
          • 補助人:物忘れが多いが、意思疎通が取れる場合

          成年後見人は、法律行為や財産の管理、本人がおこなった法律行為の取消などをおこなえます。
          保佐人の場合、重要な法律行為の取り消しや、同意をおこなう権利などが付与されます。
          補助人は、特定の法律行為の取り消しや同意などをおこなえるのが特徴です。

           

            不動産売却における成年後見人とは?成年後見申立ての手続き方法

            不動産売却における成年後見人とは?成年後見申立ての手続き方法

            続いて、不動産売却における成年後見申立ての手続きと必要書類をチェックしていきましょう。
            不動産売却で成年後見人を選任する際は、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てをします。
            申立てできるのは、下記の方です。

            • 本人
            • 配偶者
            • 4親等内の親族(配偶者・父母・子ども・兄弟姉妹・祖父母・孫・ひ孫・玄孫・姪・甥・いとこ・叔父・叔母)
            • 市町村長

            法律で定められた方以外は、申立てや手続きができないので注意しましょう。

            誰を成年後見人にするかは家庭裁判所が決める

            誰を後見人にするかは、親族同士で話し合うことも可能です。
            しかし、家庭裁判所が不適切と判断した際はほかの方を選任することもあります。
            親族ではなく、弁護士や司法書士などの有資格者が選ばれることもあるでしょう。
            そのため、必ずしも希望者や推薦者が後見人になれるとは限りません。
            申立て後は、原則申請を取り下げることができないので慎重に選ぶべきといえます。

            「手続きに必要な書類」

            不動産売却で成年後見人を選任する際、手続きに必要な書類は下記のとおりです。

            • 申立書と申立事情説明書
            • 本人と後見人の戸籍謄本と住民票、親族関係図
            • 後見登録がされていない証明書
            • 診断書
            • 財産目録と、財産や収支を裏付ける書類

            上記はあくまでも一般的な書類となります。
            申立てする家庭裁判所によって、手続きに必要な書類が異なるため、事前に確認しておくと良いでしょう。

             

              成年後見人による不動産売却の方法

              成年後見人による不動産売却の方法

              最後に、成年後見人による不動産売却の方法をご紹介します。

              成年後見人による不動産売却の方法1:不動産の相場を確認する

              成年後見人による不動産売却は、まず相場を確認することから始めます。
              同じスペックの土地や建物が近隣で売りに出されていれば、その価格から相場を把握することが可能です。

              成年後見人による不動産売却の方法2:不動産会社と媒介契約を締結

              相場を確認できたら、不動産会社と媒介契約を締結し売却活動を行ってもらいます。
              スムーズな売却にするためにも、売出価格や時期などのご希望をしっかりと伝えるようにしましょう。

              成年後見人による不動産売却の方法3:買主と売買契約を締結する

              買主が見つかり次第、次は売買契約の締結です。
              成年後見人による不動産売却では、売買契約書に停止条件を付ける必要があります。
              停止条件とは、裁判所から不動産売却の許可が下りなかった際、契約は無効になるというものです

              成年後見人による不動産売却の方法4:家庭裁判所から許可を得る

              成年後見人が不動産売却する際は、自宅を勝手に売却されることを防止するため、家庭裁判所の許可が必要になります。
              許可が下りれば売却することができますが、否決の際は契約が無効となります。

              成年後見人による不動産売却の方法5:決済と引き渡し

              最後は決済と引き渡しです。
              引き渡し時には所有権の移転登記(名義変更)などをおこないます。

              成年後見人による不動産売却では、居住用か非居住用かで手続きや売却方法が異なります。
              居住用の不動産の場合、たとえ成年後見人であっても勝手に売却することはできません。
              委任状などで簡単に売却できてしまうと、本人が住まいを失う恐れがあるからです。
              引っ越しで生活環境を変えた場合、認知症などを悪化させる可能性もあるでしょう。
              そのため、成年後見人による不動産売却では、本人を保護するために家庭裁判所の許可が必要です。

              その一方、非居住用であれば許可を得なくても売却できます。
              生活の拠点と見なされず、保護する必要はないと判断されるからです。
              ただし、非居住用の不動産だからといって自由に売却することはできません。
              成年後見人が不動産売却するためには、正当な理由(本人の生活費や医療費の確保など)が必要です。
              ちなみに居住用とは、将来的に本人が住む予定の不動産も該当します。
              たとえば、今は施設や病院で暮らしているけれど、退所や退院後に戻る場合などです。
              そのため、今現在は住んでいないからといって、非居住用として売却しないよう注意しましょう。

               

              成年後見制度とはなにか、成年後見申立ての手続きや必要書類、成年後見人による不動産の売却方法を解説しました。

              茅ヶ崎市・鎌倉市・藤沢市・逗子市・寒川町・横浜市・川崎市・相模原市の成年後見人による不動産売却をご検討中の方は「相続手続きの相談窓口」まで、是非お気軽にご相談ください。

              相続した空き家を放置するとデメリットがある?【相続手続きの相談窓口】

              相続した空き家を放置するとデメリットがある?解決策もご紹介

              ●空き家を相続した場合は換気や通水、掃除などの定期的な管理が必要となる
              ●空き家を放置し続けると、特定空家に指定されて固定資産税の負担が上がるなどのデメリットがある
              ●空き家状態にしないためには、建物の解体や売却などの解決策を取ると良い

              空き家を相続したものの、とくに活用する予定がなく、つい放置してしまう方は少なくありません。
              しかし空き家を放置することによるデメリットが多いため、適切な管理ができない場合は解決策を実行する必要があります。
              この記事では、相続した空き家の管理方法や放置することのデメリット、空き家状態にしないための解決策をご説明します。

                相続した空き家の管理方法

                相続した空き家の管理方法

                現在、日本では放置された空き家が増え続け、社会問題となっています。
                空き家は適切に管理する必要があるものの、相続した空き家の対処方法がわからずに困る方は少なくありません。
                ここでは、空き家の管理方法について解説します。


                換気

                空き家は湿気がこもることでカビや害虫が発生し、柱など家の重要な部分が腐りやすくなります。
                そうなると空き家の資産価値は大きく低下するため、注意が必要です。
                湿気をためないようにするためには、定期的な換気をおこない空気の入れ替えをおこなうことが大切です。
                窓や扉だけでなく、押し入れやクローゼット、靴箱の扉などもすべて開けて、すみずみまで換気をおこないましょう。


                通水

                水道管を長期間使用しないと、さびが発生し、最悪の場合は水道管が破裂することもあります。
                また、水道管に水を流さないでいると悪臭の原因にもなります。
                水道管のなかには封水とよばれる水を貯めておく場所がありますが、長期間使っていないと封水は蒸発してしまいます。
                封水がなければ下水からのにおいや害虫、害獣が家のなかまで入り込んでしまうことがあるのです。
                できれば水道は使える状態にしたまま、月に1度は水道から1分程度水を流し、さびがないかなどを確認しましょう。


                掃除

                室内や庭の定期的な掃除も欠かせません。
                とくに庭の雑草を放置していると、見た目が悪くなるだけでなく害虫も発生し、周辺住民に迷惑をかけてしまいます。
                隣家まで伸びた木の枝や葉っぱなどを隣人が勝手に切ることはできないため、トラブルに発展しやすい問題でもあります。
                月に1度は念入りに掃除をおこないましょう。

                  相続した空き家を放置するデメリット

                  相続した空き家を放置するデメリット

                  空き家には適切な管理が欠かせませんが、空き家から遠方に住んでいる場合や多忙な場合は管理するのが難しいと感じるかもしれません。
                  しかし、空き家を放置することは多くのデメリットにつながるため、注意が必要です。


                  犯罪に巻き込まれるリスク

                  管理されていない空き家は、犯罪者に狙われやすくなります。
                  不法侵入や放火、不審者に住みつかれるなど、さまざまなリスクが高まるのです。
                  定期的に現地を見回らなければそのような事態になっていても気付けないため、より重大な事態に発展する場合もあります。
                  周辺の治安悪化につながるおそれがあるため、近隣住民との関係が悪化するきっかけとなることもあります。


                  「特定空家」に指定されることによるデメリット

                  周辺の環境に悪影響を与える空き家であると行政が認めた場合に、「特定空家」に指定されることがあります。
                  特定空家に指定された場合、固定資産税が跳ね上がるおそれがあります。
                  家の建っている土地は固定資産税の軽減措置が適用され、200㎡以下の部分は固定資産税が6分の1、200㎡を超える部分は3分の1に軽減されます。
                  しかし特定空家はこの軽減措置の対象外となるため、結果的に固定資産税の負担が重くなることがあるのです。

                  また、特定空家に指定されて行政からの指示や命令などに従わなかった場合は、強制的に建物が解体されることもあります。
                  その場合の解体費用は所有者が支払う必要があるため、特定空家に指定されることは極力避けたほうが良いでしょう。


                  所有者責任に問われるデメリット

                  空き家をきっかけとして損害を受けた方がいる場合、所有者責任に問われます。
                  たとえば、空き家の瓦がはがれて通行人にけがをさせた場合、所有者が責任を追及され、損害賠償などを求められる可能性があります。
                  たとえその家から遠方にいたとしても、所有者である以上は適切に管理する責任が生じるのです。
                  地震や台風など大規模な自然災害がきっかけだったとしても、所有者責任からは逃れられない場合があります。
                  トラブルにあわないためには定期的に見回りをおこない、とくに自然災害のあとには念入りに建物の状態などをチェックする必要があります。
                  なお、通常の家であればあらかじめ保険に加入しておくという対策が取れますが、空き家を対象に加入できる保険は少なく、あったとしても割高な保険料になるでしょう。

                    相続した家を空き家状態にしないための解決策

                    相続した家を空き家状態にしないための解決策

                    相続した家を空き家にしているとデメリットが多いため、なるべく空き家の状態にしておかないことが大切です。
                    ここでは、相続したあとに空き家状態にしないための解決策をご説明します。


                    建物を解体する

                    空き家をきっかけとしたトラブルの多くが、建物がきっかけで起こるものです。
                    そのため、建物を解体して更地にすることで、トラブルの多くを未然に防ぐことができます。
                    放火や不審者の侵入などの心配がなくなり、管理の負担も大幅に削減されるでしょう。
                    ただし、解体には費用がかかります。
                    1坪あたりの解体費用は、木造であれば5万円ほど、鉄骨造の場合は7万円ほど、鉄筋コンクリート造なら9万円ほどが相場です
                    解体費用は建物の構造や、建物に面した道路の状況、隣家との距離など、さまざまな条件によって大きく変わるため、注意が必要です。
                    また、建物が無くなると土地の固定資産税が高くなってしまうことに注意が必要です


                    空き家を譲渡する

                    空き家を有効に活用してくれる方が身近にいるのであれば、譲渡するのも解決策のひとつです。
                    人が住むことで自然と換気や通水などの管理がされるので、建物の劣化が抑えられます。
                    自治体や法人などが譲渡を受け入れてくれる可能性もゼロではありませんが、明確な利用計画がなければ断られることが多いです。
                    空き家の隣地の所有者であれば土地を利用しやすいため、譲渡を受け入れてくれるかもしれません。
                    無償で譲渡する場合でも、登記のための税金や贈与税がかかる場合があるため、あらかじめ相手に確認しておくことが大切です。


                    売却する

                    空き家の対処に困っている場合、まずは売却できないか確認してみるのがおすすめです。
                    まずは空き家の価値を知るために、不動産会社に査定を依頼しましょう。
                    査定の内容や対応に問題がなければ、売却を任せる不動産会社と媒介契約を結びます。
                    不動産会社が広告を出すなどの売却活動をおこなった結果、買主が見つかり、条件に合意できれば売買契約を締結します。
                    決済と引き渡しをおこなえば、空き家の売却は完了です。
                    空き家を売却すれば、管理の手間や固定資産税の負担もなくなります。
                    売れないだろうと思っていても、査定を受けてみたら意外と価値があったというケースも珍しくありません。

                    まとめ

                    相続した空き家の管理方法や放置した場合のデメリット、空き家状態にしないための解決策を解説しました。
                    相続した空き家の管理が難しい場合は、まず売却できないか確認してみると良いでしょう。

                    茅ヶ崎市・鎌倉市・藤沢市・逗子市・寒川町・横浜市・川崎市・相模原市の空き家については「相続手続きの相談窓口」にご相談ください。

                    相続における代償分割とは?【相続手続きの相談窓口】

                    相続における代償分割とは?メリット・デメリットも解説

                    不動産などの分けにくい遺産を複数の相続人で分割する場合、代償分割を選択するのも手段のひとつです。
                    不動産をそのまま所有しておけるのがメリットですが、資金力が必要などのデメリットもあります。
                    この記事では、代償分割とはなにかやそのメリット・デメリット、遺産分割協議書の書き方などについてご説明します。

                      相続における代償分割とは

                      相続における代償分割とは

                      遺産に不動産が含まれており、相続人が複数いる場合、遺産分割の方法を決める必要があります。
                      ここでは、代償分割をはじめとする4つの分割方法をご説明します。

                      代償分割とは

                      代償分割とは、一部の相続人が不動産などの遺産を相続し、その代償として金銭などをほかの相続人に支払うという遺産分割の方法です。
                      たとえば、3,000万円の価値のある不動産をひとりの相続人が受け取り、ほかの2人の相続人には1,000万円ずつの現金を渡すことが代償分割です。
                      複数人で分割しにくい不動産などの遺産をそのままの形で残しながら、公平に分割したいときに使われる方法です。

                      現物分割

                      遺産の形や性質を変えることなく、そのままの状態で分割する方法を現物分割といいます。
                      たとえば、1,000万円の価値の不動産と1,000万円の現金、1,000万円の価値の宝飾品がある場合、3人がそれぞれ不動産、現金、宝飾品を受け取ることが現物分割です。
                      遺産が平等に分けられる状態であれば問題が起きにくく、手間が少ない分割方法です。
                      しかし、実際は相続する財産の価値がバラバラで、不平等な遺産分割になることが少なくありません。

                      換価分割

                      遺産を売却するなどして現金化し、お金を相続人で分配することを換価分割といいます。
                      たとえば、3,000万円の不動産を売却し、現金1,000万円ずつを3人の相続人で分けるのが換価分割です。
                      売却するため元の遺産は残りませんが、平等に分けやすく、受け取ったあとは活用もしやすいというメリットがあります。

                      共有分割

                      共有分割とは、ひとつの遺産を複数人で共有する分割方法です。
                      たとえば、不動産を相続人3人の共有名義とし、それぞれ3分の1ずつの持分割合で登記するのが共有分割です。
                      遺産を残したまま平等に分けることができますが、共有財産は活用しにくく、その後に起きた相続でトラブルになりやすいなどに注意が必要です。

                       

                        相続における代償分割のメリットとデメリット

                        相続における代償分割のメリットとデメリット

                        不動産を代償分割する場合には、メリットとデメリットを事前に把握しておくことが大切です。
                        ここでは、代償分割のメリットとデメリットを解説します。

                        メリット1:不動産を手元に残せる

                        代償分割を選ぶメリットは、不動産を売却せず、そのままの形で手元に残せることです。
                        ずっと住んでいる家など、どうしても手放したくない不動産の場合は、とくにこのメリットを大きく感じるでしょう。
                        また、売却の必要がないため、ほかの相続人に支払う代償金がすぐに用意できる場合は手間もかかりません。

                        メリット2:平等に分割できる

                        不動産など価値のある遺産を一部の相続人だけが受け取ると、ほかの相続人からの不満につながります。
                        代償分割では多く受け取った分だけほかの相続人に現金などで補填するため、結果的には平等な遺産相続が可能となります。

                        メリット3:不動産を単独で相続できる

                        不動産を残したい場合は、代償分割以外にも共有分割という方法もあります。
                        しかし、共有名義になる共有分割とは違い、単独名義で不動産を所有できるのも代償分割のメリットです。
                        共有名義の不動産は、売却のためには全員の合意が必要となり、さらに相続が発生すると権利関係者が増えるなど、トラブルに発展することが珍しくありません。
                        代償分割ではそのような事態を避けられるため、相続後も不動産を活用しやすいでしょう。

                        デメリット1:代償金の用意が負担になる

                        代償分割をするためには、ほかの相続人に支払う代償金を用意しなければいけません。
                        受け取る不動産の価値が高いほど、高額な資金が必要となります。
                        資金に余裕がない場合は、代償金の用意が重い負担となることがあります。

                        デメリット2:不動産の評価額で意見がわかれる

                        不動産の評価額をもとに代償金額を決めますが、その際にどのような基準の評価額を採用するかによって、相続人同士でトラブルが起きることがあります。
                        不動産の評価額は、不動産会社が査定する時価だけでなく公的機関が発表する公示地価や基準地価などさまざまなものがあり、どの基準を採用するかによって評価額が大きく異なることも多いです。
                        評価額によって相続人の手元に入る金額が変わるため、相続人同士で意見が割れることも珍しくありません。

                        デメリット3:相続税の用意が必要になる

                        不動産を売却する場合、タイミングによっては売却益から相続税を支払うことも可能です。
                        しかし、不動産を売却しない代償分割の場合は、不動産の価値に応じた相続税をほかから用意する必要があります。
                        不動産以外の遺産から相続税を捻出できない場合は、代償金にくわえて相続税も自分で用意する必要があるため、とくに負担が重くなるでしょう。

                         

                          代償分割で相続する際の遺産分割協議書の書き方など注意点

                          代償分割で相続する際の遺産分割協議書の書き方など注意点

                          代償分割を選んだ場合、遺産分割協議書の書き方や相続税の計算方法などについての注意点があります。

                          遺産分割協議書の書き方

                          相続人が複数いて、遺言書が残されていない場合などは、相続人全員で遺産分割協議をおこない、遺産分割方法について話し合う必要があります。
                          遺産分割協議で合意された内容は遺産分割協議書にまとめます。
                          代償分割の場合、あとからトラブルにならないため、また、余分な税金を課されないためにも、遺産分割協議書への記載が必要です。
                          もし代償分割した旨を遺産分割協議書に記載しなかった場合、相続人同士でやり取りした代償金が贈与とみなされ、贈与税が課される可能性があります。
                          そうならないためには、代償分割する旨と、誰が不動産を取得し、誰にいくらの金額をいつまでに支払うかを明確に記載しておかなければいけません。
                          遺産分割協議書には決められたフォーマットなどはありませんが、贈与とみなされることのないよう、細心の注意が必要です。

                          代償分割する場合の相続税の計算方法

                          相続した遺産の価値に応じて相続税が課されます。
                          たとえ代償分割をしたとしても、相続人全員で受け取る遺産の総額に変わりはないため、相続税の総額も変わりません。
                          ただし、代償金を支払った側と受け取った側の負担割合に応じて、以下のようにそれぞれの相続税の負担割合も変わってきます。

                          • 代償金を支払った相続人:課税価格=相続した遺産の価額-支払った代償金の価額
                          • 代償金を受け取った相続人:課税価格=代償金以外に相続した遺産の価額+受け取った代償金の価額

                          代償金の金額は、相続税評価額から計算する以外に、時価をもとに計算することもできます。
                          どの方法で計算するかによって、各相続人の支払う相続税の割合は変わりますが、相続税の総額は変わりません。

                           

                          まとめ

                          代償分割とはなにかやメリット・デメリット、遺産分割協議書の書き方、相続税の計算方法についてご説明しました。
                          代償分割にはメリットもありますが、代償金の用意が負担となる場合はほかの分割方法も検討すると良いでしょう。

                          茅ヶ崎市・鎌倉市・藤沢市・逗子市・寒川町・横浜市・川崎市・相模原市の相続のことは「相続手続きの相談窓口」にご相談ください。

                          相続診断を無料で行っております!!!【相続手続きの相談窓口】

                          こんばんは。

                          みなさん、「相続手続きの相談窓口」では「相続診断」無料で行っています。

                          「相続診断」とは、自分や家族が亡くなってしまったときに相続でどのような問題が起こる可能性があるか?それに対する対策の必要性や対策の緊急度を診断するものです。

                          □うちには相続で争いになるほどの財産はないよ。
                          □うちは家族みんな仲が良いからも揉めることはないよ
                          □縁起が悪いから死んだ後のことまでまだ考えないよ
                          などなど。
                          でも一度診断してみると良いですよ。

                          よく生前対策として遺言書を書きましょうなんてありますが、アメリカでは亡くなった方の70%が遺言を書いているそうです。フランスでも70%、ドイツでは50%くらいの方が遺言書を書いているそうです。
                          日本では8%です・・・。
                          さらに、遺産分割の審判・調停を申し立てている財産の額は1,000万円以下で約35%、5,000万円以下で約70%だそうです。
                          「うちには相続で争いになるほどの財産はないよ」なんて言ってる方、油断しないでくださいね。
                          自分が死んだ後のことで家族が揉めないために、まず、どのような危険性が潜んでいるのかを把握することからスタートしてみましょう。
                          遺された家族が相続で揉めないための思いやりです。

                          さて、「相続診断」ですがどのように行うかというと、
                          各「相続手続きの相談窓口」のホームページのお問合せページからお問合せください。

                          お問合せ内容に、「相続診断希望」と記載してください。
                          そうしましたら、メールで30の質問を送ります。
                          その中でご自身に該当する番号を全て記載して返返信いただきます
                          ご返信いただきましたら、診断を行い結果を「相続診断結果シート」をつけてメールでご報告いたします。
                          「相続診断結果シート」とはこんなふうになっています。
                          相続診断結果シート

                          たった30個の質問で「相続診断」できちゃいます。
                          「相続診断結果シート」が届いたら、それをもってご家族と家族会議を開くもよし、それをもって専門家に相談するもよし。
                          相続について漠然としていたものが、何をした方が良いのか具体的に理解することができます。

                          無料で行っておりますので、遠慮なくお問合せください。
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                          相続した空き家の譲渡所得税の3000万円特別控除の特例と令和5年度税制改正【相続手続きの相談窓口】

                          相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3000万円まで控除することができます。

                          これを、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。

                           

                          被相続人居住用家屋とは

                          特例の対象となる「被相続人居住用家屋」とは、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋で、次の3つの要件すべてに当てはまるもの(主として被相続人の居住の用に供されていた一の建築物に限ります。)をいいます。

                           

                          イ 昭和56年5月31日以前に建築されたこと

                          ロ 区分所有建物登記がされている建物でないこと

                          ハ 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと

                           

                          なお、要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所するなど、特定事由により相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった場合で、一定の要件を満たすときは、その居住の用に供されなくなる直前まで被相続人の居住の用に供されていた家屋(以下「従前居住用家屋」といいます。)は被相続人居住用家屋に該当します。

                           

                          被相続人居住用家屋の敷地等とは

                          特例の対象となる「被相続人居住用家屋の敷地等」とは、相続の開始の直前(従前居住用家屋の敷地の場合は、被相続人の居住の用に供されなくなる直前)において被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地またはその土地の上に存する権利をいいます。

                           

                          なお、相続の開始の直前(従前居住用家屋の敷地の場合は、被相続人の居住の用に供されなくなる直前)においてその土地が用途上不可分の関係にある2以上の建築物(母屋と離れなど)のある一団の土地であった場合には、その土地のうち、その土地の面積にその2以上の建築物の床面積の合計のうちに一の建築物である被相続人居住用家屋(母屋)の床面積の占める割合を乗じて計算した面積に係る土地の部分に限ります。

                           

                          特例の適用を受けるための要件

                          (1)売った人が、相続または遺贈により被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を取得したこと。

                           

                          (2)次のイまたはロの売却をしたこと。

                          イ.相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。

                          (注)被相続人居住用家屋は次の2つの要件に、被相続人居住用家屋の敷地等は次の(a)の要件に当てはまることが必要です。

                          (a)相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと。

                          (b)譲渡の時において一定の耐震基準を満たすものであること。

                           

                          ロ.相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。

                          (注)被相続人居住用家屋は次の(a)の要件に、被相続人居住用家屋の敷地等は次の(b)および(c)の要件に当てはまることが必要です。

                           

                          (a)相続の時から取壊し等の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと。

                          (b)相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと。

                          (c)取壊し等の時から譲渡の時まで建物または構築物の敷地の用に供されていたことがないこと。

                           

                          (3)相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

                           

                          (4)売却代金が1億円以下であること。

                          ※この特例の適用を受ける被相続人居住用家屋と一体として利用していた部分を別途分割して売却している場合や他の相続人が売却している場合における1億円以下であるかどうかの判定は、相続の時からこの特例の適用を受けて被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等を売却した日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に分割して売却した部分や他の相続人が売却した部分も含めた売却代金により行います。

                          このため、相続の時から被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等を売却した年までの売却代金の合計額が1億円以下であることから、この特例の適用を受けていた場合であっても、被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等を売却した日から3年を経過する日の属する年の12月31日までにこの特例の適用を受けた被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等の残りの部分を自分や他の相続人が売却して売却代金の合計額が1億円を超えたときには、その売却の日から4ヶ月以内に修正申告書の提出と納税が必要となります。

                           

                          (5)売った家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。

                           

                          (6)同一の被相続人から相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等について、この特例の適用を受けていないこと。

                           

                          (7)親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと。

                           

                          特別の関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。

                          重要

                          1.特例の適用期間は、令和5年12月31日まで

                          2.相続した居住用不動産が昭和56年5月31日以前に建築された建物+その敷地の譲渡であること

                          3.相続開始直前に被相続人以外に居住していた人がいないこと

                          4.相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却

                          5.耐震改修して中古戸建としての売却か、解体して更地での売却

                          6.売却代金が1億円以下

                          7.他の特例を受けていないこと

                          8.特別の関係にあるものに売ったものでないこと

                           

                          ⇓   ⇓   ⇓   ⇓   ⇓   ⇓   ⇓   ⇓   ⇓

                          令和5年度税制改正大綱で期間延長・条件緩和

                          以下の延長及び措置がとられます。

                          令和9年12月31日まで4年間延長されます

                          当該被相続人居住用家屋が当該譲渡の時から当該譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの間に次にあげる場合に該当することとなった時は適用対象とする

                          ・耐震基準に適合することとなった場合

                          ・その全部の取り壊し若しくは除去がされ、又はその全部が滅失をした場合

                          売主によって耐震改修や解体をしなければならなかったものが、買主によって耐震改修や解体する条件の売却でも適用されるようになりました

                          相続人の数が3以上である場合における特別控除額を一人2000万円とする

                          ・2人が共有で相続して売却した場合3000万円×2人=6000万円控除

                          ・3人が共有で相続して売却した場合2000万円×3人=6000万円控除

                          その他所要の措置を講ずる

                          上記改正は、令和6年1月1日以降に行う被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等の譲渡について適用されます

                          お問い合せ



                          電話: 050-3627-0098お問合せ専用小野瀬行政書士事務所
                          営業時間: 9:30~18:30(当サイトからのお問い合せは24h対応
                          休日: 水曜日
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                          相談対応地域
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