相続が発生して7日以内の手続き
家族が亡くなって間もないうちだというのに相続の手続きはすぐに進んでしまいます。
「死亡届」
■届出ができる人:親族・同居人・家主・地主・家屋管理人・土地管理人・後見人・保佐人・補助人・任意後見人
■届出時期:死亡の事実を知ってから7日以内。国外で死亡した時はその事実を知ってから3ヶ月以内。
■添付書類:死亡診断書又は死体検案書
■届出先:死亡者の死亡地・本籍地又は届出人の所在地の市区町村
死因が明らかである時は医師によって書かれた「死亡診断書」が病院から発行され、死因に事件性があったりして検視や司法解剖が行われた場合には「死体検案書」が警察医から発行されます。
「死亡診断書」「死体検案書」のどちらも医師により作成されます。
「死亡診断書」「死体検案書」と「死亡届」は一体となっているため、医師から発行された後、届出人が記入して提出することになります。
「火葬許可申請書」
死亡届と同時に、火葬するために必要な「火葬許可申請書」を提出します。
申請書は、亡くなられた土地、死亡者の本籍地、届出を行うものが住んでいる市役所などで受け取ることができ、申請も同じ場所でできます。
申請して「火葬許可証」が発行され、火葬が終わると次に「埋葬許可証」が発行されます。
火葬許可書が無いと火葬できません。火葬が終わると火葬場の管理事務所が火葬許可証に印を押してくれます。これが埋葬許可書になります。
埋葬許可書が無いとお寺や霊園に行っても埋葬できません。
※「死亡届」「埋葬許可申請書」の提出は葬儀屋さんが代行してくれる場合もあります。申請書は申請人が記入しますが、委任状があれば提出を委任することはできます。
相続発生時の年金手続き
「受給権者死亡届」
添付書類:
亡くなった方の年金証書、死亡の事実を証明する書類(戸籍抄本・死亡診断書のコピー又は死亡届の記載事項証明書)
提出先:
・年金事務所又は年金相談センター
・市区町村役場(障害基礎年金・遺族基礎年金のみを受けていた方が亡くなった場合)
提出期限:厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内
「未支給年金・未支払給付金請求書」
添付書類:
・亡くなった方の年金証書
・亡くなった方と請求する方の身分関係が確認できる書類(戸籍謄本等、亡くなった方と請求する方が生計を同じくしていたことがわかる書類)
・受け取りを希望する金融期間の通帳
・亡くなった方と請求する方が別世帯の場合は「生計同一についての書類」
提出先:年金事務所又は年金相談センター
未支給年金を受け取れる人:
亡くなったとき亡くなった方と生計を同じくしていた①配偶者②子③父母④孫⑤祖父母⑥兄弟姉妹⑦それ以外の3親等内親族
※番号は優先順位です。
相続発生時の健康保険・介護保険・役所の手続き
「勤務先の健康保険の被保険者だった場合」
提出書類:健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届
提出先:日本年金機構事務センター又は勤務先を管轄する年金事務所
提出期限:亡くなってから5日以内
※手続きは勤務先の総務課などの担当者が窓口になるため、提出書類はその担当者に確認の上、手続きを依頼することになります。
「国民健康保険の被保険者だった場合」
提出書類:死亡届など死亡を証明するもの、保険証、印鑑
提出先:亡くなった方の住んでいた市区町村役場
提出期限:亡くなってから14日以内
「後期高齢者医療制度の被保険者だった場合」
提出書類:
・資格取得(変更・喪失)届書
・後期高齢者医療被保険者証
・後期高齢者医療限度額適用認定書または限度額適用・標準負担額減額認定証
提出先:亡くなった方の住んでいた市区町村役場
提出期限:亡くなってから14日以内
「介護保険の保険者だった場合」
提出書類:
資格取得・異動・喪失届、介護保険被保険者証、介護保険負担限度額認定証等
提出先:亡くなった方が住んでいた市区町村役場
提出期限:亡くなってから14日以内
「世帯主変更届」
世帯主の方がなくなった場合に必要になります。
提出書類:
・世帯主変更届、手続き人の本人確認書類、国民健康保険証、後期高齢保険証
・在留カード・特別永住者証明書・外国人登録証明書のどれか(外国人の方)
提出先:亡くなった方の住んでいた市区町村役場
提出期限:亡くなってから14日以内
提出する人:亡くなった方と同一世帯だった人又は代理人(委任状と代理人本人確認書類が必要)
※亡くなった方の世帯に2人以上15歳以上のものがいる場合には、新しい世帯主の届けを行う必要があります。
葬儀や埋葬が終わったと思っていたら、これだけの手続きを10日~14日以内にしなければならないのは大変ですよね。
相続が発生して3か月以内の手続き
3ヶ月以内は結構やることが多いです。
知っている方も多いと思いますが、3ヶ月以内には相続の単純承認・限定承認・相続放棄を決めなければなりません。
この3ヶ月という期間は熟慮期間と呼ばれ、しっかり考えるための期間です。
しかし、単純承認・限定承認・相続放棄を熟慮するにあたって、相続する財産がどのようなものかを知らなければなりません。
したがって、そのために先ずやらなければならないことがあります。
それは、
■遺言書の有無の確認・検認等
■相続人・相続財産の調査
になります。
遺言書の有無の確認・検認等、相続人・相続財産の調査を経て相続を単純承認するのか相続放棄をするのか限定承認するのかという手続きに移ります。
単純承認する場合は特に手続きはありませんが、相続放棄や限定承認をする場合は期限が決められています。期限は「自己のために相続が発生したことを知ったときから3ヶ月以内」です。
この期間を超えてしまうと単純承認があったものとみなされてしまいます。
遺言書の有無の確認・検認等
相続の手続きを行うにはまず、遺言書の有無の確認をおこないます。
遺言書がなければ相続人間で遺産分割協議を行うこととなります。
公正証書遺言があれば原則遺言書の通り遺産分割が行われます。
自筆証書遺言があれば、「検認」の手続きをおこないます。有効な遺言であれば原則遺言書の通り遺産分割が行われます。
「遺言書の検認」
検認とは相続人に対し、遺言の存在・内容を知らせるとともに、検認日現在の遺言の内容を明確にし、偽造・変造を防ぐ目的があります。遺言書の有効無効を判断するものでは無いため、無効な遺言であれば相続人間で遺産分割協議を行う必要があります。
家庭裁判所での検認を受けずに遺言書を開封した者は5万円以下の過料に処される場合があります。
申立人:遺言書の保管者・遺言書を発見した相続人
申立先:遺言者が最後に居住していた住所を管轄する家庭裁判所
費用:遺言書1通につき800円(収入印紙)
申立書に添付する書類:相続人の立場によって異なります。下記参照。
『共通事項』
・遺言者の出生から死亡時までの全ての戸籍(除籍・改正原戸籍)謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・遺言者の子(及びその代襲者)で死亡している人がいる場合、その子(及び代襲者)の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
『相続人が(配偶者と)遺言者の父母・祖父母等(直系尊属)の場合)』
・遺言者の直系尊属で死亡者がいる場合、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
『相続人不在の場合・相続人が配偶者のみの場合・(配偶者と)兄弟姉妹及びその代襲者(甥・姪)の場合』
・遺言者の父母の出生から死亡時までの全ての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
・遺言者の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
・遺言者の兄弟姉妹に死亡している人がいる場合はその兄弟姉妹の出生から死亡時までの戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
・代襲者としての甥・姪に死亡している人がいる場合は、その甥または姪の死亡の記録がある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
「公証役場での公正証書遺言の検索」
1989年以降に書かれた公正証書遺言であれば、公証役場において、遺言の作成年月日・証書番号、遺言者の氏名や遺言を作成した公証人名の検索と、公正証書遺言の謄本を請求できる。
検索できる人:相続人等利害関係人
必要書類:
・戸(除)籍謄本等、遺言を残した者の死亡記載がある書類
・戸籍謄本等、遺言者の相続人で有ることを明らかにする書類
・請求するものの本人確認資料(運転免許証・マイナンバーカードと認印または交付後3ヶ月以内の印鑑証明書と実印)
※現在、自筆証書遺言の法務局での保管制度がスタートしておりますので、法務局での調査も必要になると考えます。
相続人の確定・相続財産の確定
相続人が相続財産を単純承認・限定承認・相続放棄するにあたり、その検討材料として相続人が誰であるか、相続財産はどれくらいあるのか、プラスなのかマイナスなのか知っておく必要があります。
「相続人調査」
被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本を死亡時から出生時まで遡りながら取得していきます。
この戸籍調査によって相続人が確定します。
また相続人自身も生存を証明するため戸籍謄本を取得する必要があります。
必要書類:申請書・本人確認資料(免許証等)・委任状(代理人が申請する場合)
申請先:被相続人(亡くなった方)の本籍があった市区町村役場
「相続財産の調査」
相続財産には、現金・預貯金・不動産・有価証券・生命保険などのプラスの財産はもちろん、負債・連帯保証・未払い債務などのマイナス財産もあります。
被相続人の自宅内や金融機関の貸し金庫などに財産についての資料があるかどうかを確認し、財産の所在や金額を把握しなければなりません。
預金通帳の入出金記録や金融機関・カード会社の郵送物、確定申告書、請求書、固定資産税納税通知書といった書類からも相続対象となる財産の把握は可能です。必要に応じて金融機関等に問合せて、財産の有無・額等を確認する必要があります。
相続放棄・限定承認の申述
「相続放棄の申述」
プラスの財産より債務などのマイナス財産が多くて相続するのを放棄する場合の申述です。
申述人:相続人、法定代理人、特別代理人
申述期限:自己のために相続が発生したことを知ったときから3ヶ月以内
申述先:被相続人が最後に住んでいた地域の家庭裁判所
費用:申述人1人につき800円(収入印紙)
必要書類:相続放棄の申述書
※申述人と被相続人の関係によって以下の書類が必要になる場合があります。
『共通事項』
・被相続人の住民票除票又は戸籍附票
・被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・申述人の戸籍謄本
『申述人が被相続人の配偶者の場合』
・共通事項で足る
『申述人が被相続人の子又はその代襲者(孫、ひ孫等)の場合』
・申述人が代襲相続人(孫、ひ孫等)の場合、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
『申述人が被相続人の父母・祖父母等(直系尊属)の場合』
・被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・被相続人の直系尊属に死亡している方がいる場合、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
『申述人が被相続人の兄弟姉妹及びその代襲者(甥姪)の場合』
・被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・申述人が代襲相続人(甥姪)の場合、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
「限定承認の申述」
相続放棄は相続人単独で行なえますが、限定承認は相続人全員での申述が必要になります。
申述人:相続人全員
申述期限:自己のために相続が発生したことを知ったときから3ヶ月以内
申述先:被相続人が最後に住んでいた地域の家庭裁判所
費用:申述人1人につき800円(収入印紙)
必要書類:相続の限定承認の申述書
※その他の必要書類
『共通事項』
・被相続人の住民票除票又は戸籍附票
・被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・申述人全員の戸籍謄本
・被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
『申述人が被相続人の(配偶者と)父母・祖父母等(直系尊属)の場合』
・被相続人の直系尊属に死亡している方がいる場合、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
『申述人が被相続人の配偶者のみの場合又は被相続人の(配偶者と)兄弟姉妹及びその代襲者(甥姪)の場合』
・被相続人の父母の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・被相続人の兄弟姉妹で死亡している方がいる場合、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・代襲者としての甥姪で死亡している方がいる場合、その甥又は姪の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
これだけ戸籍を集めるだけでも大変ですよね。
また家庭裁判所への申述を代理できるのは弁護士と司法書士になりますので、「相続手続きの相談窓口」では提携司法書士に依頼しています。
所得税の準確定申告手続き
準確定申告は、被相続人の所得について申告する手続です。
ただし、下記①~③の要件に当てはまる場合は申告しなくてもよいのです。
①給与所得が2,000万円以下で、1ヶ所から給与所得を受け取っていた場合
②給与所得と退職所得以外の所得が20万円以下の場合
③公的年金の収入が400万円以下でそれ以外の収入が20万円以下の場合
「申告手続き」
手続を行う人:相続人
提出先:被相続人が在住していた地域の管轄税務署
提出書類:準確定申告書・源泉徴収票
提出期限:相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内
被相続人が生前から税理士に任せて確定申告を行っていたり、相続税の申告を税理士に任せる予定の場合は、その税理士にお任せすれば安心ですね。
「相続手続きの相談窓口」でも提携税理士を利用できます。
遺産分割協議と遺産分割協議書の作成
遺産分割協議・遺産分割協議書の作成に期限はありません。実は遺産分割協議書は作成義務もありません。
ただ相続税の申告期限までに遺産分割がまとまらないと法定相続分で相続税の申告をすることになります。
また、名義変更等の手続きも進めることができませんので、相続人調査・相続財産調査が終わったら速やかに遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を早めに作成しておくと安心です。
財産状況により遺産分割協議書を作成しなくても良い場合もありますが、財産に不動産がある場合や後々相続人間で紛争が発生することが無いように予防のためにも作成をお勧めしております。
遺産分割協議書とは、相続人間で誰がどの財産を相続するかを話し合い、その内容に基づいて協議書を作成し、署名・捺印をし、各相続人が保管しておくものです。
各相続人の押印は実印で行い、印鑑証明書が必要になります。
遺産分割協議で揉めるようなことがあると、専門家は弁護士しか関われなくなります。士業には業際というものがあり、紛争が生じている法律事項に関しては弁護士の独占業務になってしまうので、相続全体の時間も掛かることになります。また、弁護士が担当する相続手続きはきっと料金も・・・ねぇ。
相続税の申告
相続税の納税が必要な場合、相続税の申告書を提出しなければなりません。
逆に言うと、納税の必要がない場合は、相続税の申告書を提出しなくても良いことになります。
ただ、「配偶者の税額軽減」「小規模宅地の特例」などの適用により納税額が0になる場合は、申告書を提出しなければ特例等の適用は受けられませんので、申告書を提出する必要があります。
手続きする人:相続税の申告が必要な人
提出期限:自己のために相続が発生したことを知った日の翌日から10ヶ月以内
提出書類:相続税の申告書等
納税が必要な場合、相続税の申告が自分でできないとは言いませんが、基本的に税理士に依頼することをお勧めしています。
余分に相続税を払ったり、相続税が不足していたなんて事になったら大変ですから、特に相続財産が複雑だったり、特例を利用することができたりする場合には税理士に頼むと確実ですね。
「相続手続きの相談窓口」では提携税理士に依頼できます。
公正証書遺言の検索
その結果、どこの公証役場で公正証書遺言を作成したのがわかれば、その作成した公証役場に赴いて、公正証書遺言の謄本を請求することになります。
これが公正証書遺言の検索です。
遺言と遺産分割の関係
これには二つの場合があります。
①遺言執行者がいない場合
相続人全員の同意があれば、遺言と異なる遺産分割を行うことができます。
②遺言執行者がいる場合
遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の権限を有しており(民法1012条)、相続人は遺言執行を妨げることはできません(民法1013条)。
したがって遺言執行者は、相続人の意向にかかわらず遺言を執行できます。
ただ相続人全員(受遺者がいれば受遺者も含む)が遺言と異なる遺産分割を望んだ場合、遺言執行者がそれに同意すれば、その処分行為は有効であると考えられます。
遺産分割のポイント
相続人の納得はもちろん最優先ですが、遺産の中の土地などの不動産を換価分割を検討する場合には下記内容も考慮するとより良い遺産分割になるように考えます。
①売却予定地を誰に、どのような割合でそうぞくさせるか
②土地売却ににつき譲渡所得税がかかること
③取得費加算の適用があること
④小規模宅地等についての課税価格の計算の特例等についての申告期限までの所有継続要件が伴うものがあること
⑤居住用財産の3,000万円特別控除などの相続人の中に特例の適用条件を満たす者がいるか
⑥想定される売却金額
⑦地価変動の傾向
⑧売却までにかかる時間
⑨測量だなどの売却に掛かる費用
⑩譲渡所得が生じることにより不要および社会保険の影響
上記は、不動産の専門家や税理士のアドバイスがあると助かりますよね。
相続分なきことの証明書
不動産の所有権の移転登記をする場合、必ず「遺産分割協議書」を提出する必要がありますが、これに代わり「相続分なきことの証明書」の提出でもいいとされています。
気を付けなければならないのは相続放棄とは違うので、相続財産に負債がある場合に負債を免れることはできません。
行方不明の相続人がいる場合
ただ、長期間連絡が取れない相続人がいる場合はどうしましょう?
これには2つのパターンが考えられます。
①行方不明の場合
この場合、不在者財産管理人を家庭裁判所が選任することになります。
不在者財産管理人が遺産分割協議をする場合は、権限外行為に該当する為、家庭裁判所の許可があわせて必要になります。
②7年以上生死不明の場合
この場合、失踪宣告を家庭裁判所に請求し、認められれば、通常の場合生死不明から7年経った時点で死亡とみなされます。(死亡擬制といいます)
その死亡擬制の時点が被相続人の相続より前の場合には代襲相続の問題となります。
未成年の相続人がいる場合
①未成年者と親権者が利益相反(親権者も未成年者も相続人など)の場合
家庭裁判所に特別代理人を選任することになります。
②未成年者と親権者が利益相反しない場合
親権者が未成年者の法定代理人として遺産分割協議を代理することになります。
認知症の相続人がいる場合
①成年後見制度を利用している場合
この場合はさらに3つのケースに分かれます。
㋐後見人と被後見人が利益相反のケース
後見監督人が選任されていれば後見監督人が被後見人を代理します。選任されていなければ家庭裁判所が特別代理人を選任します。
㋑後見人と被後見人が利益相反しないケース
後見人が被後見人を代理します。
㋒任意後見制度の場合
任意後見契約で遺産分割協議の代理権が与えられていれば任意後見人が被任意後見人を代理します。ただし、任意後見人と被任意後見人の利益が相反しているときは任意後見監督人が代理します。
②成年後見制度を利用していない場合
遺産分割協議の意思能力の問題になります。
遺産分割時に意思能力がないことが証明された場合、その遺産分割は無効です。
遺言で各相続人に遺産を指定しておけば、遺産分割協議をせず、円滑な財産分けが可能です。
遺言と同じ内容の遺産分割協議書を作成する意味
その期間は、遺留分が侵害されていることを知った日から1年です。
この期間に遺留分侵害額請求をされるリスクを無くす方法として、同じ内容の遺産分割協議書を作る方法があります。
遺産分割協議書を作成してしまえば、遺産分割は確定し遺留分侵害額請求はできなくなるからです。
他にも遺留分侵害額請求されない方法としては、遺留分を放棄してもらう方法があります。
包括遺贈の相続手続きの注意点
つまり、遺贈の放棄に関するルールは適用されず、相続人の承認・放棄に関するルールが適用されることになります。
例えば、相続人と同一の権利義務を有することとなるので、負債がある場合は債務も相続人と同様に引き受けることになります。
債務を承継したくない場合は、包括遺贈があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所で相続放棄の手続きを行う必要があります。