相続税の知識まとめ
□相続税の速算表
□相続税の税額計算のしかた
□みなし相続財産
□生前贈与の活用1(暦年贈与の活用)
□生前贈与の活用2(相続時精算課税制度・居住用不動産の配偶者控除)
□生前贈与の活用3(住宅取得資金贈与・教育資金の一括贈与・結婚子育て資金贈与)
□不動産の相続税評価額
□小規模宅地の評価減の特例
法定相続人 | 基礎控除額 |
---|---|
1人 |
3,600万円 |
2人 |
4,200万円 |
3人 | 4,800万円 |
4人 | 5,400万円 |
5人 | 6,000万円 |
相続税の課税対象となる財産 | |
---|---|
種類 | 詳細 |
不動産
|
土地(宅地、山林、畑等の農地、敷地権や借地権、地上権等の権利等) 建物(区分建物、駐車場、倉庫、借家権等) |
金融財産 |
現金、預貯金、株式、投資信託、公社債等 |
その他 | 自動車、家具、電話加入権、ゴルフ会員権、リゾート会員権、著作権、商標権、特許権、宝石等貴金属、骨董品、入院保険金(被相続人が受取人の契約)、売掛金や損害賠償請求権等債権者としての権利等 |
相続税の課税対象とならない財産 | |
---|---|
種類 | 詳細 |
祭祀承継されるもの |
墓地、墓石、仏壇、仏具等(※骨董価値や投資対象となるような高額なもの等は除外され課税対象となります) |
死亡保険金 ※ただし上限あり |
500万円×法定相続人の数で計算した金額までは非課税
※相続放棄をしたり、受け取らない相続人がいても、その分の人数も含めて計算できます。 例:500万円×法定相続人3名=1,500万円の保険金まで非課税。超えた部分は課税対象財産となります。支払われた保険金が1,000万円であれば1,000万円のみ非課税となります。 |
死亡退職金 ※ただし上限あり |
上記死亡保険金と同様、500万円×法定相続人の数で計算した金額までは非課税です。 ※相続放棄をしたり、受け取らない相続人がいても、その分の人数も含めて計算できます。 例:500万円×法定相続人3名=1,500万円の退職金まで非課税。超えた部分は課税対象財産となります。支払われた退職金が1,000万円であれば1,000万円のみ非課税となります。 |
課税価格 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
被保険者 | 保険料負担者 | 保険金受取 | 税金の種類 |
被相続人 | 被相続人 | 相続人① | 相続税 (満期時は贈与税) |
被相続人 | 相続人① | 相続人① | 所得税・住民税 |
被相続人 | 相続人① | 相続人② | 贈与税 |
退職金を受け取る時期 | 税目 |
---|---|
生前に本人が受け取った退職金 | 所得税 |
死亡後3年以内に遺族が受け取った退職金 | 相続税 |
死亡後3年経過後に遺族が受け取った退職金 | 所得税(一時所得) |
ただし、相続放棄をしている場合、下記で説明する「非課税枠」の使用ができず、相続税が課税されるため注意が必要です。
②みなし相続財産は相続人が「生命保険金」と「死亡退職金」を受け取る場合に限り一定額までは非課税となっています。
生命保険金非課税限度額 | 500万円×相続人の数 |
死亡退職金非課税限度額 | 500万円×相続人の数 |
③みなし相続財産は基本的に遺産分割の対象外です。
みなし相続財産は受取人が指定されており、受取人固有の財産と考えられるからです。
そのため、みなし相続財産は、相続人同士で遺産の相続配分を決める話し合いである遺産分割協議の対象にはなりません。
④「生命保険金の非課税枠」を利用して節税対策に利用されるケースがあります。
みなし相続財産を利用した節税対策を簡単に説明すると「最大限非課税となる金額を保険料として支払い、亡くなった時に支払った保険金を受け取る」というものです。
その他のみなし相続財産
□年金や保険金などを定期的に受け取る権利である「定期金の権利」はみなし相続財産として扱われます。
□生命保険料の支払いを亡くなった被相続人が負担していた場合に自分が契約している生命保険を解約することにより発生する「解約返戻金」や、生命保険の契約を続行して発生する「満期保険金」を受け取れる権利である「生命保険契約に関する権利」
□遺言により債務を無償で免除された場合や、著しく低い価格で債務を免除された場合、その免除された債務の金額に相当する金額がみなし相続財産として扱われます。
例えば、被相続人に700万円を借りていたが、遺言によって返さなくてもよくなった場合がこれにあたります。
この場合の相続税は支払いが免除された700万円に対して課税されることになります。
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間 | 省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 |
---|---|---|
2020年4月~2021年3月 | 1,500万円 | 1,000万円 |
2021年4月~2021年12月 | 1,200万円 | 700万円 |
区分 | 限度面積 | 評価減の割合 | 大まかな要件 |
特定居住用宅地等 | 330㎡ | 80% | 配偶者や同居の親族が取得 |
賃付事業用の宅地等 | 200㎡ | 50% | 賃貸事業の継続 |
特定事業用宅地等 | 400㎡ | 80% | 事業の継続 |
被相続人等が住んでいた宅地の要件です。被相続人が住んでいた宅地と被相続人の生計一親族が住んでいた宅地の2つに分けて要件を確認します。
a.被相続人が住んでいた宅地
下記に掲げる人が相続した場合のみ適用があります。
㋑被相続人の配偶者(居住要件、所有要件共になし)
㋺被相続人と同居していた親族(居住要件、所有要件共にあり)
㋩被相続人と同居していないが下記要件を満たす親族(所有要件のみあり)
・被相続人に配偶者がいないこと
・被相続人と同居している相続人がいないこと
・被相続人が亡くなる前3年間、日本国内にあるその人又はその人の配偶者の所有する家屋に居住したことがないこと(いわゆる「家なき子」)
b.被相続人の生計一親族が住んでいた宅地
下記に掲げる人が相続した場合のみ適用があります。
㋑被相続人の配偶者(居住要件、所有要件共になし)
㋺被相続人の生計一親族(居住要件、所有要件共にあり)
【貸付事業用宅地等】
被相続人等(生計一親族も含みます)が貸付事業をしていた宅地の要件です。
㋑事業継続要件
被相続人の貸付事業を申告期限までに引き継ぎ、かつ、貸付事業を申告期限まで継続すること
㋺保有継続要件
その宅地等を申告期限まで保有すること
【特定事業用宅地等】
被相続人等(生計一親族も含みます)が事業(貸付事業を除きます)をしていた宅地の要件です。こちらは、特定居住用宅地等よりは要件が簡易的で、下記の2つの要件となります。
㋑事業継続要件
被相続人の事業を申告期限までに引き継ぎ、かつ、事業を申告期限まで継続すること
㋺保有継続要件
その宅地等を申告期限まで保有すること