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遺言書の落とし穴

遺言書に預貯金残高は記載しておいた方が良いのか?


【事例】
遺言書の作成を考えているが、書籍等を見ると、遺産はできる限り特定すべきと記載されているため、預貯金については残高まで記載しておいた方がよいのだろうか。

【よくある誤認】
遺言において預貯金の記載をする場合、残高まで記載しておくべきである。

【実際のところは】
遺言において預貯金の記載をする場合、残高まで記載するべきではない。

【なぜならば】
遺言作成後において残高が変動する可能性があるにもかかわらず、残高まで記載してしまうと、残高を超える部分については遺言の対象外と評価されてしまい、未分割遺産として残ってしまうため、残高まで記載するべきではありません。
この点に関連して、遺言において預貯金を記載する場合、銀行名・支店名を記載するのが通常です。詳しく記載すべき時であっても口座の種別・口座番号までとします。
銀行あるいは支店の統廃合によって銀行名あるいは支店名が変わったとしても、特に問題は生じません。
ただし、銀行自体がつぶれてしまった場合には、当該銀行の預貯金にかかる部分は無効となってしまいます。

母親の面倒を見ることを条件とする遺贈の落とし穴。R5.8.17


【事例】
父親が亡くなり、自宅不動産については残された母親と同居している長男に相続させるという遺言があった。
遺言には、「長男は母親と同居して母親を扶養し、母親にふさわしい老後を送ることができるよう最善の努力をするものとし、長男の妻と共に母親の日々の食事はもとよりその他身の回りの世話をその満足を得るような方法で行いなさい」と書いてあった。
長男は当該遺言に基づいて自宅不動産を相続したが、後年失業して人が変わってしまい、母親の面倒をきちんと見ていない。
母親の面倒を見ていないので、他の相続人が母親の面倒を見るから自宅不動産を返してほしいと思っているが、できるのでしょうか?

【よくある誤認例】
負担付遺贈として、負担の義務を果たしていない以上、遺言書は当然に無効になる。

【実際のところは】
負担付遺贈は、負担を条件とするものではないので、負担を履行しなくても遺贈の効力は発生し、負担が履行されないからといって、遺贈が当然に効力を失うこともない。負担が履行されない場合は、家庭裁判所によって遺贈が取り消されることがあるにとどまる。

【解説】
1.負担付遺贈か否か
「長男は母親と同居して母親を扶養し、母親にふさわしい老後を送ることができるよう最善の努力をするものとし、長男の妻と共に母親の日々の食事はもとよりその他身の回りの世話をその満足を得るような方法で行いなさい」という負担は非常に抽象的であり、そもそも負担付遺贈といえるのか否かが問題になります。
しかし、東京地裁昭和59年8月31日判決、東京高裁昭和54年12月20日判決をみると、抽象的であるがゆえに負担ではないとはいえず、本事例のような義務は負担付遺贈といえると考えます。
ただし、裁判所は祭祀継承者「被相続人の道徳的宗教的希望を託されたのみで祭祀を営むべき法律上の義務を負担するものではない」と判断し、負担付遺贈であることを否定しています。

2.負担の義務を履行しない場合
 負担付遺贈は、負担を条件とするものではありませんので、負担を履行しなくても遺贈の効力は発生し、負担が履行されないからといって、遺贈が当然に効力を失うこともありません。
民法1027条では、負担が履行されない場合は、家庭裁判所によって遺贈が取り消されることがあるにとどまります。

3.負担付遺贈の取り消し
 扶養・介護義務は抽象的なことが多く、負担を履行したといえるかにおいて争いになることがあります。毎月一定の金銭を老親の生活費として支給するという扶養義務であれば、負担内容も明確で履行の有無の判定も容易ですが、そうでない場合の争いは深刻です。
負担付遺贈ではなく、負担付死因贈与の判例になりますが、東京地裁昭和59年8月31日判決では負担付死因贈与の取り消しを否定しています。
本事例は、遺言の記載内容から、長男が具体的にどのような扶養・介護を行ったかによって、取り消しが認められるか否かが判断されることとなります。
虐待したり金銭を横領したりしているのであれば、負担は履行していないものとして取り消しが認められるべきと考えます。

未分割の不動産の持分を遺贈する場合の落とし穴


【例題】
亡き父親名義の不動産があって遺産分割未了の場合、母親が当該不動産の法定相続分に基づく共有持分を遺贈するときの留意点とは。

よくある誤認
「不動産についての2分の1(母の法定相続分)の持分を相続させる」という遺言で取得した相続人は、確定的な持分(遺産分割を経る必要のない持分)を取得する。
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実際のところは
相続させる遺言で共有持分権を取得した共同相続人は、父親の遺産分割協議の申入れがあれば、当該共有持分も遺産に含めて協議に応じざるを得ない。

【解説】
1.相続させる遺言の場合
母親の法定相続分が2分の1の場合、「不動産についての2分の1の持分を〇〇に相続する」という遺言が作成される場合があります。
遺産分割未了ですから、当該不動産について母親が2分の1の持分を確定的に有しているわけではありません。
しかし、最高裁平成17年10月11日決定は、「共同相続人が取得する遺産の共有持分権は、実態上の権利であって遺産分割の対象となる」と判時しており、実態上の権利である以上それを遺言の対象とすることもできると考えられます。
登記についても、当該不動産について法定相続登記をすれば、登記することも可能です。
ただし、相続させる遺言で共有持分権を取得した共同相続人は、父親の遺産分割協議の申入れがあれば、当該共有持分権も遺産に含めて協議に応じざるを得ません。

2.第三者への遺贈の場合
第三者への遺贈の場合であっても上記同様であり、「不動産についての2分の1の持分を〇〇に遺贈する」という遺言は有効です。
ただし、遺贈で共有持分権を取得した第三者は登記を経れば確定的な持分を取得したことになり、父親の遺産分割協議の申入れがあっても遺産分割協議の当事者となることはありません。

3.相続分全体を対象とした遺言を作成する方法
不動産に限定せず、「夫の遺産に対する相続分」というものを遺産として遺言を作成するという方法もあります。

無効な遺言は相続において何の意味も持たないのか?


【事例】
父が死亡し、遺言が見つかりました。ただ、押印がなされていないため、遺言は無効だが、無効な遺言は何らの効力も生じないのか?

よくある誤認
方式違背により無効な遺言は何らの効力も生じない。
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実際には!】
方式違背により遺言としては無効であったとしても、死因贈与契約としての効力が認められる場合や、特別受益の持ち戻し免除の意思表示を認定するための根拠となる場合がある。

【解説】
1.遺言としての効力
遺言は要式行為であるため、方式違背がある場合、当該遺言は無効となります。(民960・968①)

2.死因贈与契約としての効力
死因贈与は、贈与者(被相続人)の死亡を停止条件とする贈与契約であり、要式行為ではないため、贈与者(被相続人)と受贈者との間で贈与の合意があれば有効に成立します。(民549)
そのため、遺言が方式違背により無効な場合でも、死因贈与の意思表示を含むと認められ、受贈者のこれに対する明示又は黙示の承諾も認められる場合には、死因贈与契約の成立が認められる場可能性もあります。
明示・黙示が問いませんが、受贈者の承諾があったと認められる必要があるため、少なくとも被相続人の死亡前に受贈者が当該遺言の内容を認識している必要があり、死亡後に初めて当該遺言の内容を認識したという場合には、死因贈与契約の成立は認められないでしょう。
この点に関する下級審判例は分かれています。

3.特別受益の持戻し免除の意思表示を認定するための根拠とされた事例
福岡高裁昭和45年7月31日決定は、三男に対して複数回にわたって法定相続分をはるかに超える不動産の生前贈与がなされるとともに、全財産を三男へ譲渡する旨が記載された自筆証書遺言が存在する事案において、自筆証書遺言は日の記載を欠くために有効な遺言とみることはできないとする一方で、同遺言書の記載内容を根拠事由の一つとして、三男に対する不動産の生前贈与について持戻し免除の意思表示があったと認定しています。

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